KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の八百伍拾参・・・節分過ぎて

ざっざっ

向こうから、
無駄に胸を張った男たちが歩いてくる。

ざっざっざっ

二人はドラマの刑事のように
カッコよくはない。
いや、はっきりとカッコ悪い。

小林 「どや?」
北小岩 「何がでございますか」
小林 「先週、
 ちんちんがしもやけになったと
 言っとったろ」
北小岩 「そのことでございますね。
 完治いたしました」
小林 「ほほう。
 ええ方法見つけたんか」
北小岩 「先生と懇意にされている
 通称・蟻の門渡り社長から
 いただいた薬が効きました」
小林 「どんな薬や」
北小岩 「マンズリーノと申します。
 塗ったとたんに
 しもやけが上気いたしまして、
 そのままかゆみが消えました」
小林 「薬品名もええし、
 よかったな」
北小岩 「ありがとうございます」

薬品名はまったくよくないであろう。

「うう、しくしく」

小林 「路地の割れ目から、
 泣き声が聞こえんか」
北小岩 「あっ、
 赤鬼さんが
 うずくまっております」
小林 「節分は終わったのに
 どうしたんや」
赤鬼 「ぼそぼそ」
小林 「聞こえんな。
 鬼やったら、
 堂々はっきり言うてみい!」
赤鬼 「今年の節分は、
 124年ぶりに2月2日でした」
小林 「そやな」
赤鬼 「僕は今年も
 2月3日が節分だと勘違いして、
 夜に土管の中で
 プライベートの時間を
 過ごしていたんです。
 そこに大勢の人がやってきて、
 豆をぶつけられて」
北小岩 「それは気の毒でございます。
 ところで何をしていたのですか」
赤鬼 「ぼそぼそ」
小林 「はっきり言わんかい!」
赤鬼 「・・・。
 鬼用のエロ本を見て、
 マスをかいていたんです」
小林&
北小岩
「なんと!」

赤鬼 「顔はエロ本で
 豆をよけたのですが、
 おちんちんを見られてしまい」
北小岩 「でも、あなた様は
 巨根で有名ではないですか」
赤鬼 「例年は箔をつけるために、
 シマシマパンツの中に
 張形タイプの棍棒を
 入れているんです」
北小岩 「そうなのでございますか」
赤鬼 「現物は短小なんです。
 僕に豆を
 ぶつけに来た人たちは、
 口々に
 『ペットボトルのふた
  二個分しかねえじゃねえか!』
 といって冷笑し、
 ちんちんめがけて
 大量の豆をぶつけました。
 今もチン心(心身)の
 傷が癒えずに、
 涙が出てきてしまうのです」
北小岩 「おちんちんの大きさは
 人格には、
 いえ鬼格には
 なんの関係もないと思います」

そういいながらも北小岩くんの脳裏には、
先生のブツは
ペットボトルのふた一個分しかないことが
よぎっていたのである。

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2021-02-07-SUN

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