KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の八百四拾六・・・孵化

小林 「今年の三大ニュースはなんや」
北小岩 「まずは先週の四町交流会です。
 前方の町代表の屁泡を
 吸い込んでしまい、
 危うく溺死しそうになりました」
小林 「腐ったマグマのような
 屁やったな」
北小岩 「それから先々週。
 丘の上から女湯を
 のぞいておりましたら
 煙突ロケットを発射され、
 中に閉じ込められて
 糞の豪雨に見舞われました」
小林 「現代の地獄絵図やったな」

これ以上聞くのは時間の無駄なので、
先へ進めよう。

北小岩 「先生はいかがですか?」
小林 「まさに今が一大ニュースや。
 町の男たちに
 怪奇現象が起こっとるんや」
北小岩 「と申しますと」
小林 「今日、
 怪奇現象にあった奴らを
 フォローする会がある。
 行ってみるか」

プッ プッ プッ プッ プッ
プッ プッ プッ プッ プッ

師弟は今にも放射されそうな屁を
肛門の開閉で調整。
10分割して放出し会場へ向かった。

北小岩 「何人かいらっしゃいますね。
 うかがってみましょう。
 怪奇現象にあわれて
 お取り込み中のところ、
 大変申し訳ございません。
 どのようなことに
 遭遇されたのですか?」
男A 「コタツに入って
 エロビデオを観ていたんだよ」
北小岩 「はい」
男A 「しばらくしたら
 金玉が動きだしてね」
北小岩 「えっ?」
男A 「突然玉が割れて、
 中からヒナが出てきたんだよ。
 コタツで玉があたためられて、
 金玉が孵化したんだ」

北小岩 「なんと!」
男B 「僕もコタツに入って
 エロ万華鏡をのぞいていた時、
 金玉がかえって
 ヒナが二匹生まれたよ」
北小岩 「そうなのですか!
 どんな様子なのですか」
男A 「僕も二匹なんだけど、
 一匹が『た』と言うと
 もう一匹が『ま』と言って」
男B 「二匹合わせて
 『たま』『たま』
 『たま』『たま』と
 泣くんだよ」
男A 「女からは
 カワイイと言われるんだけど」
北小岩 「今までの金玉と新しい金玉。
 四つの玉を持つことに
 なるのですね。
 将来が楽しみですね!」
男B 「そうじゃないんだよ」
男A 「今まであった場所には、
 玉が無くなってるんだよ」
男B 「つまり俺たち、
 今、玉無しなんだよ」
北小岩 「げげっ!」
男A 「二匹を大切に育てなければ、
 一生玉無しに
 なってしまうかもしれない」
男B 「それ以上に、
 金玉の子どもが
 愛しくてたまらないんだ」
男A 「自分の命よりも
 この子たちが大事だ!」
男B 「自分がどうなろうとも
 懸命に育てあげよう!!」

男たちは手を握り合い、
その目にはうっすら涙が光っていた。

「パチ! パチ! パチ! パチ!」

たまたま会場に来ていた
子育て中のおかあさん方が、
うなずきながらあたたかい拍手を贈る。

男たちは本気で育てなければならない状況になって
初めて、子どもを育てるおかあさんの気持ちが
心の底から理解できたのである。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2020-12-20-SUN

BACK
戻る