KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の七百参拾六・・・種

小林 「町の植物研究会の女が、
 何かを発明したらしい」
北小岩 「何でございましょうか」
小林 「町の物知りに
 聞いてみるか」
北小岩 「あそこの電信柱におります」

物知りは町の動向をさぐるため、
よく電柱上部にへばりついている。

み〜んみんみん

意味はないのだが、
セミの鳴きまねをすることもある。

北小岩 「うかがってまいります」

弟子も電信柱にのぼり。

北小岩 「植物研究会の女性が」
物知り 「女湯にいってごらん」
北小岩 「かしこまりました」

師弟が銭湯に行くと、
女湯から男女の声がした。
「ここ、洗ってよろしいですか」
「いいわよ」

くちゅくちゅ

「くすぐったいわ」
小林 「むっ!
 男の声は、
 町有数のモテないやつや」
北小岩 「確かに氏は
 女湯に入っているようです」
小林 「それだけやない。
 女の大切なところを
 洗っているに違いない」
北小岩 「どういうことでしょうか」
物知り 「こういうことです。
 研究会では
 『性欲を失う種』を
 発明したんです」
北小岩 「そうなのでございますか!」
物知り 「そうなのです」
北小岩 「もしかすると、
 町有数のモテない方は、
 その種を飲んで
 性欲を失ったのですか」
物知り 「そうですね」
小林 「それで女は安心して、
 大切なところを洗わせても
 よくなったんやな」
物知り 「そういことです」

町の男たちにひとつずつ、
種が配られた。

それから、
モテない男たちの逡巡が始まった。

「性欲を持った状態で、
 モテないまま女性に触れることもなく
 一生を終わらすのか」

「性欲を失った状態で、
 女性を洗える権利を持つのか」

どれぐらいの割合で
種を口にするのでしょうか。
考えてみたら、性欲を失っても
洗える権利を持つ男と
持たない男がでるに違いありませんね。

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2018-11-11-SUN

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