KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の六百七拾参・・・新車

北小岩 「そろそろ着くころだと
 思うのですが」
小林 「裸の女でも来るんか」
北小岩 「そうではございません。
 古くからの友人が
 新車を買ったらしいのです」
小林 「ほほう。
 そういえば、
 俺たちの車は
 長期間運転しとらんな」
北小岩 「腕がにぶってしまうかも
 しれません」
小林 「たまにはドライブするか」
北小岩 「はい」

弟子がボロボロの蔵から愛車を二台出してきた。

小林 「庭のコーナーをキメるで」
北小岩 「かしこまりました」

ぎ〜こぎ〜こ

小林 「いくで!」
北小岩 「ブッ、ラジャー!」

ぎこぎこぎこぎこ

がしゃん

北小岩 「うお〜!
 愛車が倒れて、
 金玉を挟みました!」
小林 「俺もや!」

先生と弟子の愛車は、
何年も前にゴミ捨て場で拾った
錆びついた一輪車であった。
カーブを曲がろうとして二人してこけ、
サドルと地面の間に金玉を挟んだのである。

ぶぶ〜っ

北小岩 「友がやってまいりました」
「ひさしぶり」
北小岩 「立派な新車でございますね」
「見かけだけではわからない、
 優れたところがあるんだよ。
 まず、
 排気管の後ろに
 立ってみてくれる」

弟子が移動する。

ぶおんぶおん

北小岩 「むっ!
 排気ガスではなく、
 屁の香りがします!」

「そうなんだよ。
 近頃とんでもなく
 臭い屁を嗅ぐことが
 少なくなってる気が
 しないかい」
北小岩 「確かに」
「だから、
 僕の車で
 嗅がせてあげようと思って、
 排気ガスを
 おならガスにかえる
 特殊装備にしたんだ。
 マフラーも自由に
 開閉できるんだよ。
 開いてみるね」

ぶおんぶおん
ぷ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!

北小岩 「排気音が
 屁の音になりました」
「それから、
 渋滞で合流するときに、
 お礼を言いたい時が
 あるだろ。そんな時にはこれだ」


友がスイッチを押すと
艶っぽい女の声が轟いた。

「入れてくれてありがとう♥
 気持ちよく最後までイケそうよ♥」

その他にも
乱暴運転している車に対しては
パトカーのサイレンのように
怒張したちんちんが顔を出したり、
ワイパーが卑猥な動きをするなど、
創意工夫がなされていた。
そんなものが必要かは、よくわからないが。
 

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2017-08-27-SUN

BACK
戻る