KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の六百伍拾八・・・漢文

パタパタ

北小岩 「ずいぶんほこりが
 たまっているでございます」

パタパタパタ

北小岩 「と申しましても、
 お掃除を怠っていた
 わたくしの責任でございます」

ジロッ

北小岩 「むっ、
 ここの本の一群には、
 ほこりが溜まっておりませんね」

カタッ

北小岩 「この段は、
 先生が愛用なさっている
 エロ本群でございます。
 もとに戻しておきましょう。
 それにしましても、
 男は気に入ったエロ本を
 長期間好きでいることが
 多いでございます。
 好きなタイプ、好きな角度など、
 もしかするとDNAに
 刻み込まれているのかもしれません」

バサッ

北小岩 「むむっ、
 落ちたものは
 エロ本ではございません。
 漢文でございます。
 先生の書斎に
 エロ本以外のものがあろうとは」
小林 「お前、エロ本エロ本と
 人聞きの悪いことを
 近所中に轟く音量で叫ぶんやない」
北小岩 「あっ、先生。
 わたくし、今まで先生の書斎には
 エロ本しかないものと
 信じておりました。
 しかし、漢文も一冊あることに
 気付きました」
小林 「何勘違いしとるんや。
 俺は若い頃、
 漢文のコブラと呼ばれていたんや」
北小岩 「そうなのでございますか。
 町はずれに寺子屋と呼ばれる
 漢文教室ができたと
 聞いております。
 行ってみませんか」

いつもなら、
お互いに玉袋のつけ根に指を強く押し付け、
何度も往復させてそのイカ臭さを動力に
現場に急行する二人であったが、
今日は近場なのでただ歩いて行った。

塾長 「国やぶれて山河あり」
小林 「やっとるな。
 基本中の基本や」
塾長 「そこに立っているお二方、
 何をしておるのかな」
北小岩 「わたくしの隣に
 いらっしゃる方は、
 恥垢にしか見えないと
 思いますが、
 実はその昔
 漢文のコブラと
 呼ばれていたのでございます」
塾長 「ほほう。
 では一緒にいかがかな」
小林 「君らはレ点を使って
 学ぼうとしておるが、
 邪道やな。
 俺ほどのものにはレ点などいらん」

バサッ

先生は漢文の教科書を手荒に放り投げた。
その刹那。

びゅ〜ん

北小岩 「あっ、
 教科書から
 たくさんのレ点が飛び出し、
 先生の方に飛んでいきます」

グサグサグサ

小林 「うお〜〜〜!」
北小岩 「レ点が先生の金玉に
 刺さりました!」

どうやらレ点を小馬鹿にしたため、
怒って反撃したらしい。
奇妙な気もしますが、
結局どうでもいいお話ですね。

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2017-05-14-SUN

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