KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の六百四拾七・・・妖怪

小林 「怪談といえば夏やな」
北小岩 「そうでございますね」
小林 「だがそこに登場する者たちが、
 冬になにもしていないわけは
 ないな」
北小岩 「先生のように
 夏冬問わず自分を
 慰めているわけでは
 ございませんね」
小林 「それは俺にとって
 ウォームアップのようなものや」
北小岩 「ウォームアップばかりで、
 試合にのぞんだことが
 いまだかつてございません」
小林 「へん」

先生は右手の親指を中指と人差し指の間から出し、
そのままの形で弟子のほっぺたをつねった。

北小岩 「痛いでございます。
 その上、その形は
 気分が悪いでございます」

にやっ。

先生は今までだと
般若の形相になるだけだったが、
有効な実力行使にでたようだ。

小林 「ところでなぜ
 冬にはあまり
 怪談をしないと思う?」
北小岩 「夏だと怪談の怖さに震えますが、
 冬はすでに寒さに
 震えているからでは
 ないでしょうか」
小林 「ほほう」
北小岩 「その上におちんちんが
 恐怖で縮んだら、
 ペットボトルの蓋ぐらいに
 なってしまうからでは
 ないでしょうか」
小林 「お前、
 俺に喧嘩売っとるんかい」
北小岩 「めっそうもございません」
小林 「まあええ。
 怪談より快感の方が好きな
 俺たちや。
 話は変わるが、
 俺の友人に妖怪に
 詳しい画家がおる。
 そいつのところで
 冬の妖怪について、
 聞こうやないか」

町には春一番が吹きましたが、
師弟の心はずっと冬なのですね。

北小岩 「こんにちは。
 冬の妖怪について
 おうかがいしたいのですが」
妖怪
画家
「それはかなり、
 恐ろしいものぞろいだぞ」
北小岩 「ぶるぶるぶる。
 どのように恐ろしいので
 ございますか」
妖怪
画家
「描くから待ってろ」

さらさらさら

北小岩 「むっ! これは」

弟子は戸惑いの表情をみせた。

北小岩 「怖いのだか、
 怖くないのだか、
 よくわかりません」

弟子が手渡された紙には、
ろくろ首が描かれているのだが。

妖怪
画家
「これは
 妖怪『女湯ろくろ首』だな」

北小岩 「確かに首が
 信じられないほど
 長く伸びて、
 女湯をのぞいておりますね」
妖怪
画家
「こいつも恐ろしいな」

さらさらさら
北小岩 「女性のような
 気がいたしますが、
 今度は首ではなく
 手が伸びております」
妖怪
画家
「妖怪『竿ずらし』といって、
 男が眠る丑三つ時に現れ、
 右曲がりのちんちんは左に、
 左曲がりのちんちんは右に
 ずらしてしまうんだよ」
北小岩 「あまり怖くはありませんが、
 そんなことを毎日されたら、
 おちんちんの調子が
 悪くなりますね」


そんな妖怪ほんとにいるのだろうか。

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2017-02-26-SUN

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