KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の伍百参拾六・・・焚き火

北小岩 「冷えますね」

アゴがはずれそうなほどゆるみきった顔で
町を散歩しているのは、弟子の北小岩くんであった。

北小岩 「しかし、30分ほど早足で進むと、
 身体の奥から
 ポカポカしてくるのでございます」
おばあ
さん
「そこのかわいらしい子」
北小岩 「は?」
おばあ
さん
「あなたのことよ」
北小岩 「わたくしでございますか」
おばあ
さん
「他にいないでしょ」
北小岩 「わたくし近頃、
 便器のフタに似ていると
 よく言われるのでございますが、
 かわいいと言われたのは
 遠い昔のこと」
おばあ
さん
「ともかくこのサツマイモ、
 あげるわ」
北小岩 「ふたつもいただいて
 よろしいのでございますか。
 これだけあれば、
 先生とわたくし
 三日間は生存できます。
 ありがとうございました!」

弟子はダッシュで家に戻ると。

北小岩 「先生、おイモをふたつ
 手に入れました」
小林 「でかしたぞ!
 さっそく焚き火や!!」

師弟は落ち葉などを速効でかき集め、
火打ち石で火をつけた。

北小岩 「破れてしまったエロ本を
 少しだけくべると、
 おいしくなるのでございますね」

真偽のほどは、定かではない。

小林 「そろそろええかな」
北小岩 「あっ、
 門から焚き火研究家の
 珍火燃得流
 (ちんびもえる)さんが
 入ってきました」
珍火
燃得流
「珍しいな。
 焚き火をしているのか」
北小岩 「そうでございます。
 珍火さまも、
 おイモをひと口いかがですか」
珍火
燃得流
「ありがとう。
 でも君たちの三日分の食糧に
 手をつけるわけにはいかないな。
 それより、
 ここから20キロ離れた山で、
 幻想的な焚き火の風景を
 見ることができるんだが、
 行ってみないか」
小林 「ええかもな」

三人は炭になった木を股間に押し当て、
その恐怖を原動力に
20キロ離れた場所まで走った。

珍火
燃得流
「近づき過ぎずに、
 ここから眺めていよう」

日は暮れ、
ふたつの焚き火だが煌々としている。

小林 「むっ、なんやあれは!」

北小岩 「たくさんのおちんちんが、
 じっと火を見つめております!」
小林 「もうひとつの焚き火では、
 たくさんの金玉が
 火のまわりを転がってるで!」


いったいこの光景は、
何を物語っているのだろうか。
あまりに荘厳なために、
いつしか師弟の目から涙がこぼれていた。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2015-01-11-SUN

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