KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の伍百弐拾壱・・・秋の趣

小林 「朝晩、油断をすると
 風邪をひきそうになるな」
北小岩 「そうでございますね」
小林 「今どれぐらい秋になっとるのかな」
北小岩 「先っぽが入り、
 行きつ戻りつしているところで
 ございますかね」
小林 「ほほう。
 いつの間にやらお前も、
 表現が巧みになってきたな」

そんなことはない。
ゴミ置き場で拾ったエロ本か何かに
出ていた一節であろう。

小林 「ところでお前は、
 秋といえば何を想い浮かべるんや」
北小岩 「スポーツの秋、読書の秋、
 食欲の秋でございましょうか」
小林 「あまりに凡庸やな。
 行きつ戻りつは
 ええ表現と感じたが、
 まだまだやな」
北小岩 「どのようにすれば、
 一段上に行けるので
 ございましょうか」
小林 「そやな。
 古くからの知り合いに、
 秋に関して深く考察している
 ご老人がおる。
 訪れてみるか」

二人は落ちていたイガ栗を
お互いの股間にぶつけ、
その痛みを動力としてご老人の家へ。

北小岩 「ご老人様、わたくし、
 秋の趣にもっと詳しく
 なりたいのですが」
ご老人 「わしは秋について、
 もう八十年も考え続けとる。
 そして、秋とは
 こういうものではないかという結論を
 いくつか得てな」
北小岩 「さすがでございます。
 ご教示いただけますか」
ご老人 「スポーツの秋、読書の秋、
 食欲の秋といわれるが、
 それではあまりに大雑把すぎる」
北小岩 「なるほど。
 確かに」
ご老人 「わしの結論の一つ目は、
 『蟻の門渡りの真ん中あたりに
  ある秋』じゃ」
北小岩 「なんと!」
ご老人 「見てみるのじゃ」

ご老人は褌をほどき。

北小岩 「むむっ!
 あなた様の蟻の門渡りの
 真ん中あたりに、
 どんぐりのような模様が
 浮き上がっております」
ご老人 「普段は一般的な
 蟻の門渡りなんじゃが、
 この季節だけそうなるんじゃ」

北小岩 「常人の秋を超えております」
ご老人 「それからな、
 『自然に抜けた陰毛の
  根元の方の秋』じゃ」
北小岩 「確かに抜けた陰毛の根元には、
 秋の気配が色濃く
 反映されております」
ご老人 「そうじゃ。
 これから冬に向かっていく、
 そこはかとないもの悲しさ、
 それが自然に抜けた陰毛の
 根元にはあるのじゃな」
北小岩 「わたくしとは
 けた違いの考察でございます」
小林 「まず、己の身体に秋を感じる。
 それが基本かもしれんな」

秋を考察して八十年のご老人の感覚。
見ならうべきところがあるような、ないような。

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2014-09-28-SUN

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