KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百八拾・・・屋さん

小林 「師走やな」
北小岩 「そうでございますね。
 師が走ると書きますが、
 先生のような大師でも
 走るのでございますか」
小林 「もちろん、全力疾走や」
北小岩 「さすがに時流を
 とらえていらっしゃいますね。
 で、どのようなご用件で
 走られたのでございますか」
小林 「20キロほど先にあるゴミの集積所に、
 超ウハウハのエロ本が
 大掃除で出されているという情報を
 得てな。
 今まで出したことのない速度の
 韋駄天で、そこに向かったんや」
北小岩 「戦果はあったのでございますか」
小林 「一瞬早く、
 地元の中学生が手に取った」
北小岩 「残念ですね」
小林 「俺もあきらめるわけにはいかんから、
 引っ張り合いになってな。
 ガキがひっかいてくるから、
 噛みついてやったわ。
 エロ本は結局、
 びりびりに破れてしまったんやがな」

大人気のかけらもない。
いい年こいてクソガキと真剣に
エロ本の取り合いをするなど、言語道断である。

小林 「お前は師ではないが、
 走ったか」
北小岩 「わたくしは走っておりませんが、
 古くからの友人たちが
 それぞれ商売を始めたらしいのです。
 彼らは人生を走っていると
 いえるのではないでしょうか」
小林 「エロ本屋でも始めたんか」
北小岩 「いえ、
 一人はクソがつくほど
 真面目でしたので、
 そういうことはないと存じます。
 今から二人の活躍を見に
 うかがおうかと思うのですが、
 先生はいかがいたしますか」
小林 「行ってやってもええで」

ぷ〜っ! ぷ〜っ!

子弟は己の屁を動力に、
『こんま山』まで疾走した。

小林 「こんな山奥におるのか」
北小岩 「そうでございます」

「あ〜、おしっこもれちゃう。
 どうしよう」

股間をおさえてうずくまった女性がいる。

「どうぞ、お乗りください!」

北小岩 「わたくしの友人でございます。
 何をしているのでございますか」
友人A 「山でトイレがなくて
 困る人がいるだろ。
 だから、便所屋さんをしてるんだよ」
北小岩 「肩にかついでいるものは何ですか」
友人A 「駕籠状の一人神輿なんだけど、
 中が便所になっているんだよ。
 そこに入って用を足して
 もらっている間、
 俺がわっしょいわっしょいと
 勢いをつけてあげるんだ」
女性 「頼みます!」
友人A 「中へ入ってください。
 それわっしょいわっしょい」

じょぼじょぼ〜

小林 「・・・」

北小岩 「先生、
 町にもう一人友人がおりますので、
 そちらに行ってみましょう」

山を下りて駅に向かうと。

「ぴっかぴかに磨きますよ!」

北小岩 「あっ、久しぶりでございます。
 靴磨き屋さんを始めたので
 ございますか」
友人B 「靴じゃないんだな」
「いいかい。
 今日彼女と初めての夜を
 過ごすんだ。
 頼むよ!」
友人B 「お任せください!」

客はパンツとズボンを同時におろすと、
台の上にイチモツを置いた。
友人Bは特殊なオイルをつけて、
キュッキュッと音を立ててブツを磨いた。

新商売を始めた北小岩くんの友人たち。
世の中の役に立っているような、
立っていないような。
現段階では判断が難しいところである。
 

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2013-12-15-SUN

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