KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百伍拾七・・・工房

小林 「もう7月か」
北小岩 「早いものでございますね」
小林 「今年の上半期、
 なんかええ想い出はできたか」
北小岩 「先日の事なのですが、
 わたくし昼寝をしておりまして、
 放屁する夢を見たのでございます」
小林 「ほほう」
北小岩 「プッと鳴った瞬間に
 起きたのですが、
 実際に起きてみると、
 確かに臭いのでございます」
小林 「それで」
北小岩 「夢と現実がひとつになった
 瞬間でございました」
小林 「・・・」

ただ寝屁をこいただけのことであろう。

小林 「想い出というには、
 寂しすぎるな。
 もっとええ想い出、
 つくりにいこか」
北小岩 「そのような軍資金を
 お持ちなのですか」
小林 「公園の前に
 マイクロバスが止まっとった。
 町内会の慰安旅行で、
 工房に行くという情報をつかんどる。
 無料らしいで」
北小岩 「パン工房でございましょうか」
小林 「多分食いもんやろ」
北小岩 「心とお腹の想い出づくり。
 一石二鳥でございますね」

タダほど高いものはないというが、
果たしてバスに乗り込んだ二人は。

小林 「早く着かんかな。
 腹減ったわ」

キキーッ

北小岩 「到着したようでございます。
 あれっ?
 『局所陶芸工房』と
 書かれております」
局所陶芸
工房の人
「さあ、どうぞ。こちらへ」
小林 「どういうこっちゃ」
局所陶芸
工房の人
「私どもの工房は、
 魂のこもった器制作を
 モットーにしております。
 あなたは茄子の器を、
 あなたは玉子立てを」
小林 「俺が茄子の器?」
北小岩 「わたくしは
 玉子立てでございますか」
局所陶芸
工房の人
「お二人ともパンツを脱いで、
 粘土の上にお一人は竿を、
 もう一人は金玉を二つ
 置いてください」
小林&
北小岩
「?」

いつの間にか二人の後ろに力士が立っていて、
竿と金玉の上に手を置いた。
力士 「どすこ〜い!」

推定200キロの全体重を両の手にかけた。

小林 「うぎょ〜〜〜!」
局所陶芸
工房の人
「あなたの竿の形に
 へこみましたので、
 それを焼けば
 茄子を置く器になります。
 ブツがあまりに小さいので、
 小茄子ぐらいしか置けませんが」

北小岩 「ぐわ〜〜〜!」
局所陶芸
工房の人
「あなたの玉はかなりご立派なので、
 LLサイズの玉子が
 二つ立つ器ができますね」


食べ物にありつけるかと思い
参加した二人であったが、
先生は竿が折れ、弟子は玉が潰れた。

ひと月後に焼き上がった器が
送られてきたのだが、おぞましいものであった。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2013-07-07-SUN

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