KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百拾・・・早起き

北小岩 「とんとん入ってますか」
小林 「入ってますよ」
北小岩 「目覚めておりますか」
小林 「目覚めておりますよ」

寝苦しさのあまり、
早朝の中途半端な時間に
目がぱっちりしてしまう二人。
どうせなら日が昇るか昇らないかのうちに
起きてしまおうということとなった。
便意をもよおした先生が、
再び夢の中へ戻らないように、
北小岩くんが注意深くとんとんした。

ポタポタ

小林 「はあ〜。
 便所に軽く籠っただけで、この汗や」
北小岩 「そうでございますね」
小林 「女体に汗なら
 まだ艶っぽい気もするが、
 男体に汗ほど
 無駄なものはない気もするな」
北小岩 「はい。
 せめて毛穴から炭酸でも出れば、
 少しは気持ちいいでしょうね」

気持ちいいかどうかはよくわからない。
もしも大汗かきのおっさんが
炭酸を出していたら、
シュワシュワし過ぎて不気味であろう。

小林 「じゃそろそろ、
 散歩に行くとするか」
北小岩 「そういたしましょう」

結局何時に起きようが他にすることがないので、
散歩となる。

「ターッ!ターッ」

北小岩 「時間が早いと、
 町の表情がまったく違いますね。
 どこかのおじいさまが、
 竹刀で素振りをしているようでございます」
小林 「そう思うか。
 目ん玉おっぴろげてよく見てみい」
北小岩 「うわっ!」

てっきり竹刀かと思ったのだが、
おじいさんは自分のちんちんを
素振りしていたのである。

北小岩 「まだ現役みたいでございますね」

小林 「イチモツがらみでいえば、
 あのじいさんだけやない」
北小岩 「と申しますと」
小林 「そこの電信柱を見てみい」
北小岩 「うわっ、うわっ。
 昼間よりも数倍太くなっております。
 もしかすると、
 電柱も朝膨らむのでございましょうか」
小林 「噂には聞いたことがあったが、
 ほんとに人間とかわらぬ現象が
 起こるんやな」

すーっすーっ

北小岩 「何かが寝ているようでございます」
小林 「寝息をたてているのは、犬の糞や」
北小岩 「・・・」

寝苦しさから逃れるために早起きした師弟。
本来早朝はさわやかなものであるが、
この町に限ってそんなことはなかった。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2012-08-12-SUN

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