KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百九・・・扇風機

ピシッ

小林 「うっ」

ピシッ

小林 「うっ」

猛暑の最中、静寂を打ち破る音。
何が起きているのか。

小林 「ありがとうございました。
 交代や」

ピシッピシッ

北小岩 「うぐっうぐっ」

ピシッピシッピシッピシッ
北小岩 「うぐっうぐっうぐっうぐっ。
 ありがとうございました」
小林 「まだまだ!」

ピシッピシッピシッピシッ
ピシッピシッピシッピシッ

北小岩 「あっ、ありがとうございました」
小林 「まだまだ!」

ピシッピシッピシッピシッ
ピシッピシッピシッピシッ
ピシッピシッピシッピシッ
ピシッピシッピシッピシッ

北小岩 「先生、ずるいでございます!」
小林 「今日のところは、
 ここまでにしとくか」

まぬけな師弟が何をしているかといえば、
暑さに耐えるために座禅を組み、
警策のかわりに蠅たたきを使い、
お互いに喝を入れあっていたのである。

小林 「今年の暑さは、
 喝だけではどうにもならんようや。
 しゃあない、扇風機でも見に行くか」

先生宅にも扇風機はあることはあるのだが、
羽根が一本しかなく、
その羽根も2センチぐらいしか残っていないので、
役に立たないのである。

涼を求めて出向いた家電量販店には、
最新型の扇風機が並んでいた。

店男 「いらっしゃいませ。
 どのようなものをお探しで」

師弟は各自2円ずつしか持っていないので、
声をかけるだけ無駄なのだが。

小林 「そやな。
 セクシーなやつはどれや」
店男 「こちらなどいかがですか」

スイッチを入れるとアームがのび、
10メートル先にいたOLのスカートの下から
強風を送りこんだ。

OL 「いや〜ん!」

小林 「ほほう。
 なかなかのもんやな。
 むっ、これはかなりエグそうや。
 羽根が飛んでスカートやパンティを
 切り切りするんやろ。
 えい!」

ビュン

店男 「あっ、それは!」

羽根は一瞬OLの方へ飛んだが向きをかえ、
ブーメランのように先生の股間を襲った。

小林 「うぎゃ〜!」

先生の股間は、切り切りされてしまった。
一服の清涼剤ともいえる出来事であった。

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2012-08-05-SUN

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