KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百四拾弐・・・使い途

キュッ

北小岩 「これは先生にとって、
 命そのものといってよいほどの
 大切な湯呑みでございます」

キュッキュッ

北小岩 「先生が若かりし頃、
 一方的に思いを寄せていた
 女性がいたのです。
 その方のお家の前を通りかかった時、
 中からおばあさんが顔をのぞかせ、
 燃えないゴミを出したのでございます」

キュッキュッキュッ

北小岩 「袋の中には、ひびの入った湯呑み。
 女性の家族は10人おりましたので、
 湯呑みが女性のものである確率は
 大変低いのですが、
 先生は間違いなくそうだ!
 と己に思い込ませ、
 後生大事に使っているのでございます」

キュッキュッキュッキュッ

北小岩 「間接キッスとのたまいながら、
 とろんとした目をしているのですが、
 わたくしの勘では
 湯呑みはおばあさんのもので、
 おばあさんと間接キスを・・・あっ!」

ガシャン

北小岩 「先生のお命が・・・ご臨終」
小林 「何がご臨終なんや。
 おっ!
 俺がご臨終やないか!! お前」
北小岩 「申し訳ございません!」
小林 「ほんとにお前は使い途のない男や!
 まるでケツの穴や!!」

「そんなことはありませんよ!」

小林 「誰や!
 勝手に家の庭に入って来とるのは!!」

「失礼! 僕は一見それ以外に役に立たないものの
 新たなる使い途を考案している、
 使井途男(つかいみちお)と申します」

小林 「胡散臭い名前やな」
使井途男 「たまに言われますが、
 それはともかくケツの穴を
 なめてはいけません。
 ケツの穴にも他の使い道があるのです」
小林 「なんやそれは」
使井途男 「ではお見せいたします」

使井氏はパンツを脱ぐと、縁の下に体の形に穴を掘り、
うつぶせになった。

小林 「むっ、蟻が!」

お尻の山を登った蟻が、
ケツの穴の方に落ちていった。
這い上がりそうになると、屁をかまして再び落とす。

小林 「むむっ!
 まるで蟻地獄や。
 ある意味、見事や!!」

使井途男 「そうなんですよ。
 ケツの穴はこのように、
 蟻地獄がいないところでも
 同等の機能を果たすことができるのです」

使井氏は立ち上がるとがに股になり、
奇妙な超音波のような音を発した。

北小岩 「蝙蝠が近づいてまいります。
 あっ、使井さんの金玉に
 逆さにとまりました!」
使井途男 「そうなんですよ。
 金玉にもぶらぶらする以外の
 使い途があるんです。
 このように、岩や枝のないところでも、
 蝙蝠が止まるアシストを
 することができるのです」

使井氏は他にも、
様々なものの新たなる使い途を提示したのだが、
ここで触れるのはよそう。
ともかく、人は自分が思っている以上に
己の使い途を持っている。
それだけは確かなようである。

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2011-04-24-SUN

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