KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百弐拾弐・・・暖房具

「ゴシゴシチンチン ゴシゴシチン」

「ゴシゴシチンチン 玉二つ」

近所に轟き渡る声で、
股間に乾布摩擦を加える大馬鹿者がいる。

「どうや、あっ玉ってきたやろ」

会話なのに、
漢字を間違えているのは不要先生であった。

「そろそろ、別の男房具が必要ですね」

同じく会話なのに、
漢字を間違えているのは不用弟子であった。

北小岩 「確かに乾布摩擦は暖をとるのに
 有効ではございます。
 しかし、
 長年使用していた火鉢が割れてしまい、
 摩擦だけで冬を越すのは、
 かなり厳しいと思われます」
小林 「お前の言う事も一理あるわな。
 摩擦が激しすぎて、近頃、
 玉が磨り減ってきている気がするわい」
北小岩 「実はわたくしも、
 以前に比べて玉が
 輝きすぎている気がするのです」

二人の玉などなくなったって、
何の損失もないのであるが。

小林 「この世には、
 火鉢よりも便利な暖房器具が
 出回っているかもしれんな。
 ほな、
 ちょいと見学に行ってみるかいな」

師弟は意味もなくズボンのファスナーを
上げたり下ろしたりしながら、
暖房器具屋さんに向かった。

北小岩 「こんにちは。
 わたくしたち、
 新進気鋭の暖房器具を
 ご賞味いたしたく」
小林 「まあ君たちの実力如何では、
 買わんでもない」

偉そうにのたまうが、所
持金は20円あるかないかであろう。
そうとは知らずに店主は。

店主 「ようこそいらっしゃいました。
 さ、どうぞ奥へ。
 こちらなどいかがでしょうか」

たて2メートル、
横1メートルほどの箱に開いた穴から、
もわ〜んとした熱気が出ている。

北小岩 「暖かいことは暖かいのですが、
 熱気が妙に汗臭い気がいたします」
店主 「これは労働集約型暖房器具と申します。
 価格は非常に安いのですが、
 そのかわり人件費がかかります」

穴から中をのぞいた先生が声をあげる。

小林 「マッチョな男がブリーフ一枚になり、
 その場で全力で走っとる。
 走るというか、高速で足踏みしとる」

店主 「熱気でむんむんでしょう。
 さらに温度を上げましょう!」

安っぽいスイッチをひねると。

小林 「むっ、
 野郎がブリーフを脱ぎ、
 フルチンで速度を上げた!」
北小岩 「とはいえ、
 ランニングコストが掛かりそうですね」
店主 「ではこちらは。
 透明の頑丈な箱の中に、
 あなた方が今まで
 目にしたことのないような
 卑猥なノーカットエロ本が
 入っております。
 重要な部分に粘性を高めた大量の砂が
 載っています。
 それを筒を使って吹き飛ばすのです」
北小岩 「ふ〜〜〜! ふ〜〜〜!!
 なかなか飛ばせません。
 ふ〜〜〜! ふ〜〜〜!!
 おや?
 体がぽかぽかしてまいりました」
小林 「これは何や?
 ニワトリと鳥の巣と白いペンキやないか」
店主 「さすがにお目が高い!
 金玉を白く塗り、
 ニワトリが自分の卵と間違えて
 温めるようにするのです。
 さあ、どうぞ」

促されるままに先生は寝そべり、
玉を白く着色された。
店主がニワトリを掴んでその上に載せると。

ニワトリ 「クワ〜、カッカッカ。
 キイ!」
小林 「うお〜!」

ニワトリは玉があまりに小さいので、
自分の卵ではないと認識し、
攻撃を開始したのだ。
先生の玉はボロボロになり、
違った意味で熱を持ち、結果体が温まった。
 
確かに、乾布摩擦だけで冬を越すのは
心もとない。
しかし、果たしてこの店の商品が
暖房器具と呼ぶに値するものなのか、
はなはだ疑問である。

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2010-12-05-SUN

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