KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百九拾壱・・・おケツ

「暑いのでございましょうか。
 寒いのでございましょうか」

今春の不安定な気温に、翻弄され続ける弟子であった。

「暑い日には
 両乳首に穴を開けたTシャツを、
 寒い日には新聞紙を中につめた
 ドテラを着ているのでございますが」

中間ぐらいの服でよいと思うのだが、
弟子に中庸はない。

「そういえば、サンダル等をのぞくと、
 履物は寒暖を反映させませんね」

靴を手に取り、裏を仔細に眺めてみる。

「このところ、
 フンを踏んでおりません。
 踏んだら踏んだで悲しく、
 踏まなければ踏まないで寂しい気もいたします」

そんなことはないであろう。
踏まぬにこしたことはない。

「そろそろお買い物にでなければ。
 よっちゃんイカを切らしてはなりません」

弟子は底が抜けかけた靴の
かかと部分に顔を近づけると。

「むっ!」

微妙な異変を感じた。

「25年履き続けているのでございますが、
 ついぞ気がつきませんでした」

小林 「なんや、
 糞でも踏んだ残り香を嗅いどるのか」
北小岩 「当たらずと言えど
 遠からずでございます」
小林 「靴のかかとが屁でもしとったんかい」
北小岩 「そうなのでございます」
小林 「なんと!
 青天の霹靂や。
 俺の力ではいかんともしがたい。
 あの男に聞いてみるしかないな」

あの男とは・・・。

「こんにちは。
 僕はおケツに詳しい『物尻な人』です」

北小岩 「お待ちしておりました。
 実はわたくしの靴が、
 おならをこいたようなのですが」
物尻な人 「ああ、そのことですね。
 何の不思議もございません。
 靴のおケツから
 おならが漏れただけです」
北小岩 「靴におケツがあるのでございますか」
物尻な人 「靴だけではありません。
 まだ指摘されていないことですが、
 あらゆるものには
 おケツがあるのです。
 特に箪笥や本棚など、
 後ろが壁でよく見えないものは、
 凄まじいおケツをしてますね」

北小岩 「そうなのでございますか。
 今お持ちになっている路線図ですが」
物尻な人 「これですね。
 山の手線にご注目ください。
 ただの円に見えますが、
 あるでしょう」
北小岩 「わたくしにはわかりませんが」
物尻な人 「田町のあたりです」

ぷ〜!

北小岩 「うっ!
 口を近づけ過ぎて、
 おならを肺の奥まで
 吸い込んでしまいました」
小林 「なるほどな。
 しかし、
 このけったいな写真は何や?」
北小岩 「裁判所のようですが、
 後ろの部分が
 おケツめいてる気がいたします」
物尻な人 「裁判所にだって、
 おケツはありますよ。
 ただし、
 半分見えている感じですかね。
 判決(半ケツ)というぐらいですから」
小林&
北小岩
「・・・」


あらゆるものにはおケツがある。
多分、それは真実であろう。
とはいえ、安易に指浣腸を試してみることは危険だ。
箪笥やピアノ、鉄塔などは
倒れてくる可能性があるし、
火山は事と次第によっては
噴火する危険を伴うからである。

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2010-05-02-SUN

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