KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百六拾七・・・冬の前に

「郵便です」

「ウメ〜」

「だめでございますよ」

ウメ〜というのは、ヤギの鳴き声である。
隣家で子ヤギを放し飼いにしているのだが、
先生宅の郵便を食べて困っている。

北小岩 「今度とびきりのエロピンナップを
 差し上げますから、
 今日のところはお引き取りください」

ヤギを帰らせ手紙を読むと。

北小岩 「北国の、春さんからですね。
 なになに。
 もう初雪でございますか。
 すっかり冬なのでございますね」
小林 「そやな。
 そろそろ家も、冬支度せんとな」
北小岩 「あっ、先生」
小林 「隣町では、
 もう支度が済んだらしいで。
 ちょいと出かけて、参考にするか」
北小岩 「はい」

二人は意味もなく逆方向に200メートルほど歩いてから
向きを変え、隣町に向かった。

北小岩 「どのようなことをされているのか。
 わくわくいたしますね」
小林 「ささやかなものから
 ビッグスケールのものまで、
 バラエティにとんどるらしい」
北小岩 「あれは何でしょうか。
 手相見のようなことをしておりますが」

近づいてみると。

小林 「手相ではないな」
北小岩 「占い師のようなおじさんが、
 運命線や知能線などに、
 スポイトでお湯を流しております。
 しかし、どうして」
小林 「温水式の床暖房を思い浮かべてみい。
 温水のおかげで、床の上はぽかぽかや」


お湯を流した後に
掌に保温効果のある床のようなものを
載せるらしいのだが、冬の寒さでいずれ水になり、
逆に冷たくなってしまうだろう。

北小岩 「広場の中央にある
 小便小僧の尿から、
 湯気が立っております」

かなり高温らしく、
ちんちんが苦しそうに上下している。

小林 「痛々しいな」

己の股間を握った。

北小岩 「屋台も出ておりますね」

ラインナップを見ると、
熱した付け陰毛や
おしりの割れ目用カイロなど、
冴えないものばかりであった。

北小岩 「スケールの大きいものが
 見当たりませんね」

キャー! ウォー!

北小岩 「あれは何でしょうか!」

可動式の巨大な虫めがねが、太陽光を集めている。

北小岩 「光を利用して、
 あたためるのでしょうか」
小林 「違うな。
 光は利用するが、焦点をあわせ、
 人をターゲットにする。
 みんなあちちちちっになると大変やから、
 逃げ回る。
 逃げ回ることであったまる。
 鬼ごっこみたいなもんやな」


動物や昆虫たちもせっせと冬支度を始めている。
それは理に適ったものであろうが、
隣町の支度は何の参考にもならない。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2009-11- 15-SUN

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