KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百弐拾七・・・マスク

「グウォホゥ! グウォホゥ!
 グウォホゥ! グウォホ〜〜〜〜〜〜ン!」

通りすがりの男が激しく咳き込んだ。
風邪かインフルエンザか。

「せーの、うっ!」

感染を極度に恐れる北小岩くんは、
即座に息を止め、飛沫が及ばないよう
30メートル先まで小走りした。

北小岩 「ここまでくれば大丈夫でございましょう。
 ふ〜〜〜〜う、
 深呼吸でございます」。

「ぷ〜〜〜っ!」

北小岩 「うげっ!」

前にいたおっさんが強烈な屁をこき、
北小岩くんは深い呼吸とともに、
忌まわしい気体を肺の奥まで吸い込んでしまった。

北小岩 「ゲホイ! ゲホイ!
 匂いの無間地獄を味わいました。
 それにしても、
 道行くレディは必ずといってよいほど
 マスクをしております。
 それも、普通のマスクとは
 一味違う気がいたします。
 むっ、
 あんなところにマスク屋さんが!」

前にいたおっさんが強烈な屁をこき、
北小岩くんは深い呼吸とともに、
忌まわしい気体を肺の奥まで吸い込んでしまった。

北小岩 「みなさん、あそこから
 出てくるようでございます。
 小林先生にも報告しなければなりません。
 とにかく、突入してみましょう」

弟子は、ももあげをしながら、店に入っていった。

北小岩 「はっ、
 思いの他美しい方が多いでございます」

体の線を強調した服に身を包んだスレンダー美人たちが、
一風変わった試着室を利用している。

北小岩 「不思議な光景でございます」

中に入ってカーテンやドアを閉めて着替えるのではなく、
箱に顔だけを入れて試着するのだ。

 
北小岩 「あっ、出てきました」

女性は薄ピンクのパンティ型のマスクをつけている。

女性A 「もう少し、
 フィット感があったほうがいいわね」

女性がマスクを少しずらすと、
濡れた唇がパンティ型マスクから覗いた。

北小岩 「セクシーでございます。
 わたくし、
 思わず反応してしまいました」

他の試着室から、別の女性が顔を出した。

女性B 「私、お口を使ったプレイが得意だから、
 これにするわ」
北小岩 「?」
口店長 「あのマスクは、
 中で唇を丸い形にすると、
 マスクのその部分に穴ができるのです。
 つまりマスクを取らずに、
 棒状のものを口に含むことができます。
 言うなれば、
 穴つきパンティのようなものでしょうか」
北小岩 「それではウィルスの侵入を
 ゆるしてしまうのではないですか」
口店長 「大丈夫ですよ。
 通常は超密着構造で、
 プリーツ加工のため、
 ウィルスを含んだ飛沫は
 ほぼ百パーセントカットできます。
 穴つきマスクの最先端といっても
 過言ではないでしょう」


そんなものに最先端技術を使って、
どうするというのだろう。
という疑問はあるが、
インフルエンザが各県で猛威をふるっているのは事実。
みなさまも特に混雑した電車などに乗る際には、
くれぐれもお忘れなく。
(注・・・穴つきである必要はありません)

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2009-02-08-SUN

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