KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の百九拾四・・・合唱団


北小岩 「おだやかなお天気で
 ございますね」
小林 「梅雨の中折れといったところやな」

聞くに値しない会話を続けながら、
エロ本の見本市に向かう師弟。

北小岩 「あれに見えるは、
 クラシックさんではございませんか」

その男、
古今東西あらゆるクラシカルミュージックに
造詣が深いため、そんなあだ名で呼ばれている。

北小岩 「あなたはなぜ
 電信柱に抱きついているのですか」
クラシック
さん
「あまりにいい形をしていたもので、
 私の匂いをつけていたのです」

訳のわからないことを口走る。

クラシック
さん
「お二人とも相変わらず暇そうですね。
 海外の有名な合唱団が来日し、
 今からコンサートがあるのですが、
 一緒にいかがです」
北小岩 「わたくしたちはこれから」
小林 「北小岩、それは今度にしよう。
 俺もクラシカルミュージックには
 一家言あるからな。
 お伴させていただくで。
 で、どこの合唱団なんや」
クラシック
さん
「三つの合唱団を堪能できます。
 ひとつめは少年たちで、ウイ」
小林 「わかった。
 それ以上言わんでよいわ。
 釈迦に説法ちゅうもんやで」

三人はナンバ走りで会場へと急ぐ。

クラシック
さん
「今日は特別に、
 テノール歌手が歌い上げ大ヒットした、
 あの名曲も披露するそうです」
北小岩 「わたくし、
 よくトイレで口ずさんでおります。
 楽しみですね」

ブザーが鳴ると、会場は静まりかえった。
幕があがり、そこには色白の少年たちが。

クラシック
さん
「一曲目が例の曲です」

ピアノ前奏が始まると、
少年たちはズボンのファスナーを下ろし、
観客をおちょくるように、
あどけない如意棒を取り出した。

小林 「むっ、様子がおかしい。
 そうか。
 こいつらは有名な
 オーストリアの合唱団やなくて、
 『ウインナー少年合唱団』や!」
北小岩 「なんと!」


場内のざわめきをものともせず、
高らかに歌い始める。

♪ ちんのか〜すに〜
  ちんのか〜すにな〜て

北小岩 「わたくしの愛する曲ではないようです」

だが、歌声はどこまでも澄んでいて、確かに美しい。
先生はクラシックさんの手から
オペラグラスを強引にとった。

小林 「天は二物を与えずやろ。
 巨大なモノをぶら下げとる俺の前で、
 粗末なモノを振り回しよって」

凝視した先生の手が小刻みに震え、
オペラグラスがすべり落ちた。
信じられないほど、どデカかかったのである。
放心状態のまま第一部が終わり、
休憩をはさんで二部が始まった。
先ほどより年長者が登場したものの、
やはりチャックを下ろし始めた。

北小岩 「少年たちも十分に大きかったですが、
 比べ物にならないほどご立派ですね」
クラシック
さん
「彼らはフランクフルト青年合唱団です。
 でも、三部のボンレス壮年合唱団の方が、
 年季が入っている分、凄まじいですよ」


銭湯でも温泉でも、男のブツには目を背ける先生。
それなのに、今日はボンレス壮年合唱団の
汚らわしきイチモツを、大量に目にしてしまった。
それから数日間、
ソーセージ&ハム系の悪夢にうなされることとなった。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2008-06-22-SUN

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