KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を
一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の百六拾九・・・ピス


北小岩 「先生、町はずれの空地を
 ご覧になりましたか?」
小林 「ああ。あのファクトリー状の建物やろ」
北小岩 「屋根の上にいちもつ型のオブジェがあり、
 1日に数度手のようなものが
 現れてそれを起こし、
 先端から黄色っぽい水を
 噴出するということです。
 中に入ってみたいのですが」
小林 「何をしているのか
 見なくともわかる気がするが、
 まっ、行ってみるか」
建物に近づくと、
そこには滴る文字で
『ピス・ラボラトリー』と大書されていた。
二人が油断していると、
突然オブジェから放水が始まった。
小林 「北小岩、よけろ! これは小便や!!」
湯気の立ち上った大量の聖水が、
二人を的確にとらえた。
小林 「こらっ!
 そこのでかちん裏に隠れているヤツ、
 出てこんかい!」
ピス所長 「ばれましたか。
 このマシンは近寄ってきた不審者に
 尿(ピス)をかけるマシンで、
 『ピストル』といいます」
北小岩 「くだらないこというのは、
 お止めください。
 いったい何のために
 ここはあるのですか!」
ピス所長 「その前にこちらからうかがいましょう。
 あなたは一生で
 何度ぐらいおしっこをするのですか?」
北小岩 「え〜とえ〜と。
 大体1日に7回するとして、
 年に2,555回。
 78歳まで生きるとすると、
 19万9千2百90回です!」
ピス所長 「あなたはそれほどの尿をする予定なのに、
 心行くまで放水を楽しんでいますか?
 ただ惰性で行なっているのでは
 ないでしょうか?」
小林 「なるほど、確かに一理ある。
 ここでは放尿を
 エンターテインメント化する研究を
 しとるんやな」
ピス所長 「にょうです。
 いやいや、そうです。
 まあお入りください。
 そこの気が弱そうなあなた、
 膀胱が大きそうですね。
 手始めにここで立ちションしてください」
北小岩 「ここでですか?」
小林 「せっかくの好意や。受けんかい」
北小岩 「‥‥。(シャ〜ッ)あっ〜〜〜〜〜!
 おしっこが、虹になりました!!」
ピス所長 「そうですね。
 特殊な光を当てることで、
 尿を7色に輝かせます。
 この現象は『レインニョー』と
 呼ばれるものです」

北小岩 「何だか、ふにゃちんのように
 脱力する名前ですね。
 あちらでお小水をされている方、
 5メートルも先に飛ばしているのに、
 見事にラブレターを書いております!」
ピス所長 「我が社のマシンで括約筋を鍛えると、
 お便りもできるようになるのです。
 まるで海を越えてやってくるような
 ロマンチックなおしっこのお手紙。
 『シー・メール』ですね。
 括約筋だけでなく、
 身体全体を鍛えれば
 尿をしながら鉄棒で回る尿車輪も
 可能です」
その時防寒具に身をかためた男女が
冷凍室から這い出てきた。
ピス所長 「あの中で放尿すれば、
 出した瞬間に凍ります。
 凍った尿は、男は金槌で女は」
小林 「釘抜きですっぽ〜んやろ。
 中学生時代に
 冗談として言い合っていた世界が
 展開されるんやな。
 とにかくこれから俺たちも
 まだ数万回はたしなむわけやから、
 楽しむということは
 重要な要素になってくるやろな。
 ピス研究所はこれから発展するで」



この研究所では、
エネルギー問題を解消するショウエネ
(小便エネルギーの略)タイプの
ニョータリー・エンジンの開発も進めているという。
その研究成果にも注目したい。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2007-12-20-THU

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