小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき
言の葉を一つ一つ採取し、

深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の百伍拾七・・・親子の対話


「このところ息子と、まったく会話がないのですよ。
 私のことを無視するようになりまして。
 どうしたものでしょうねえ」

北小岩くんは言わずと知れた昼行灯なのだが、
体全体から妙にほがらかな気を出しているため、
近所の人がつい立ち寄り、悩みを相談していくのだ。

北小岩 「未婚であるわたくしの手には
 負えませんね。
 翁にうかがってみましょうか」
翁というのは、
町外れの広大なあばら家に住む老人である。

ガラガラガラ

「御免!」
いつでも声を掛ける前に現れる。
先客の茶請けであるよもぎ饅頭を頬張りながら。
「やっぱりそれは
 親子の対話が不足しとるんじゃな」
話の中身を知らないはずなのに、
いきなり核心をついてくる。
翁は菓子が出されていそうな家の壁に耳をつけて、
盗み聞きしているらしいのだ。
近所
の人
「そんなことありません。
 毎日家族で食卓を囲み、
 息子には積極的に話しかけております」
「あなたもまだ青いですな。
 親子の対話というのは
 そんなもんじゃない。
 父のムスコと息子のムスコが
 対話しているのかというこっちゃ」
北小岩 「と申しますと?」
「ちんちん同士が直接話さなければ、
 コミュニケーションなど
 できないということですわ」
北小岩 「なんと!」
「わしは息子を10人育て上げた。
 息子たちはいかなる時でも
 わしを尊重してくれるな。
 無視されたことなど一度もない。
 これもお互い全裸になって、
 毎日何時間も
 ちんちんとちんちんを突き合わせ、
 話をさせていたからじゃ」
北小岩 「おちんちんは話ができるのですか」
「もちろんじゃ。
 ほとんどの人が聞き取れないほど
 小さな声じゃがね」
近所
の人
「思春期のムスコとあなたのムスコは
 どんな話をされていましたか」
「男なら誰でも身に覚えがあるじゃろうが、
 その年代のちん坊は、
 日チン月歩に変化する。
 見かけも変わるし、
 砲身としての役目もになってくる。
 変化についていけずに、
 ぐれてしまうちんもあるんじゃ。
 パンツの中で一人ぼっち。
 どう生きていけばいいかもわからない。
 不安を感じるのも当然じゃ。
 わしのムスコは、息子のムスコに
 自分の体験を包み隠さず話しとった。
 初めての発射。
 進路に悩んだ日々。
 異性との恋。
 そして幾多の失敗。
 時には亀頭で
 殴り合いをしたこともあったわな。
 そうやってわかりあい、
 きちんと反目しあい、
 親を乗り越えていくんじゃ。
 まあ、わしが1日に何度も
 ムスコを上下動させていたことも、
 すっかりばらされてしまったがな。
 あはははは」
北小岩 「なるほど。
 下半身同士が直接対話すれば、
 口でしゃべるよりも、より深く、
 男の本能に近いところで
 わかりあえますね」
近所の人 「私もさっそく自分のムスコと
 息子のムスコを対話させてみます。
 ありがとうございました!」

心と心が向き合えずに、
親子関係が修復不可能なまでに傷ついてしまう例が
後をたたない。
子育てにおいて、親子の対話は最重要事である。
ちんちん同士が向き合い、本音をぶつけあい、
お互い明るく前進していくことが、
これからさらに大切になっていくことであろう。

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2007-02-01-THU

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