小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の百拾八・・・モーターショー


「プップー!」


小林先生と弟子の北小岩くんが、
散歩の途上ゴミ捨て場に
エロ本が出されていないか
目を光らせていると、
クラクションが鳴り響いた。


「これはこれは、先生ではありませんか!」


親指を人差指と中指の間から天に突き出し、
車窓から手を振っているのは、
裏DVD仲間の
騎乗位男(きじょういお)氏であった。

小林 「どこかおでかけですか?」
騎乗 「モーターショーを覗こうと思いましてね。
 そうだ、よろしければ一緒にいかがですか?」
1年先まで何の予定もない先生と北小岩くんは、

随行することにした。
騎乗氏の愛車はレインボーブリッジを抜け、
湾岸を上下動しながら快走してゆく。
小林 「幕張に行くのも久しぶりやなあ」
騎乗 「実は今日の目的地は幕張ではなく、
 その先にある膜張なんです」
高速を降り襞々のトンネルをまさぐり、
屋根にコンと大書された
怪しげなドームに到着した。
小林 「俺がモーターショーに通っとった頃は
 環境がテーマやったが、
 近頃はだいぶ様変わりしとるんやろな」
騎乗 「ええ。今年のテーマはずばり『昇天』ですね。
 いたれり&つくせりになっております」
ふと北小岩くんが横に目をやると、
展示車の補助席でうら若き女性が
顔を上気させている。
北小岩 「気分が悪くなったのでしょうか?」
騎乗 「いえいえ、気持ちがよくなったのでしょう。
 あのクルマは長亀頭エンジンが
 搭載されています。
 標準装備としては直列4気筒なのですが、
 オプションとして補助席に
 5本目の気筒(亀頭)が伸びるように
 なっております。
 特殊シリコンでできた逸品が毎秒1万回転、
 女性の秘所を触れるか触れないかの
 絶妙なタッチでくすぐるのです」
北小岩 「女性ならずとも、法悦なる世界ですね」
小林 「なんやこれは!
 こっちのクルマのシートには
 股間のあたりにけったいなものがついとるで」
騎乗 「それはですね、
 クルマでHをする前と後に
 汚れたイチモツを流すポコワイパーです」

氏が応えた刹那、
広場で2台のクルマが不可思議な動きをした。
小林 「何や、あれは!!」
女性が乗った車体前方には巨大な女陰が、
男性の車体からは立派な如意棒が屹立している。
騎乗 「これからの主流になる
 コンセプトカーですね。
 カーセックスの時代は終焉を迎え、
 カーでセックスをする時代が到来するのです」
小林 「なるほど。
 恋人や夫婦のセックスレスが
 問題になって久しいが、
 マシンでの行為が肉体での契りに
 取って代わっていくんやな。
 考えてみれば、人間は長い歴史の中で
 本来己の体でなすべきことを
 次々と機械に任せてきた。
 セックスといえども、
 その潮流から逃れることは至難やろな」
彼氏らしき男は、
巧みなハンドル捌きで如意棒の先端を
女陰にこすり付けていた。
頃合を見計り、いきり起ったモノを
スルリと奥まで挿しいれた。
「いや〜ん」。彼女の口から
濡れた喘ぎがこぼれる。
行きつ戻りつするクルマに刺激され、
先生と北小岩くんの股ぐらは
早くもテントの設営に取りかかっていた。
 

5年前、人気バンドのGLAYは
幕張で日本最大の20万人コンサートを行った。
だが、モーターショーの主催者は5年後、
膜張に50万台の如意&女陰カーを集めて、
GLAYをしのぐ50万人インサートを
決行するという。
セックスを失った現代人が
クルマに託して行う交合。
ボブ・ディランの歌ではないが、
確実に時代は変わっているのだ。

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2004-09-05-SUN

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