小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の九拾四・・・花火

「花火を最後に見たのは、
 さかのぼること12年前でございます」

「今日の大会は村の威信をかけた競演らしいで。
 そろそろ開始時刻やな」

小林先生と弟子の北小岩くんは、
4年に1度行なわれる花火大会を見学しに、
とある地方を訪れている。
川をはさんでふたつの村があり、
戦国時代には死闘が繰り広げられたという。
今では花火で雌雄を決するのである。

ミニの浴衣を着た女性が股間にマイクをあてがい、
陰部からほら貝のような音を出した。
合戦の始まりだ。
右岸の『おま村』からピンクの花火が上がった。
上空で炸裂し子宮の形を描く。
すかさず左岸の『んこ村』から
白っぽい花火が子宮に向けて放たれた。
花火は何匹もの精子の形になり、
いやらしくくねりながら子宮に侵入していく。

小林 「見事や!精子100連発やな」
今度は、んこ村から紅いルージュ色の花火が上がり、
半開きの唇をかたどった。
間髪を入れずにおま村が打ち上げ、
半開きの唇の中で太いちんちんの形にかわった。
北小岩 「わたくしこのように勇壮な花火大会は
 見たことがございません。
 聞くところによりますと、
 今の花火は尺玉ではなく
 尺八玉と呼ばれているそうです」
「おめしょい!おめしょい!おめしょい!」

んこ村の若い衆100人が全裸になり、
巨大な人形を御輿に乗せてきた。
北小岩 「先生、あの人形をご覧ください!」
小林 「あれは若い娘が座り小便している人形やな」
若い衆が御輿に角度をつけると、
巨大な小便娘の秘所から勢いよく花火が上がった。
花火に混ざって女性器型のビニール袋が発射され、
おま村の上空で破裂。
中から怪しげな水が飛び出した。

おま村
若い衆A
「兄ぃ、この液体は水よりも黄色いようじゃで」
おま村
若い衆B
「汚ねえじゃぁ!
 あの糞ガキども、小便を入れよった。
 いったいどやつの小便じゃい!!」
んこ村
若い衆
(拡声
  マイクで)
「それはな、んこ村自慢のべっぴん集団
 おそそ小町たちの尿だわさ!」
んこ村側の巨大スクリーンに、
おそそ小町たちの恥らう姿が映し出された。
おま村
若い衆B
「ほほう、あの小股の切れ上がった
 おぼこたちのお小水とな」
おま村
若い衆A
「あやつらもたまには
 気の利いたことをしてくれるもんじゃで」
おま村の若い衆たちはいっせいに相好を崩した。
聖水じゃ!聖水じゃ!とはしゃぎ、
空に向けて口を開くバカまで現れる始末だ。
んこ村
若い衆A
「ははは、だまされたやな。
 それは、んこ村のじいさん連中が
 尿瓶でとった小便だわさ」
スクリーンに歯の抜けたじいさんたちの顔が
大写しになった。
スクリーンの
じいさん連中
「わしらのじゃよ〜〜〜」
おま村
若い衆たち
「うげえ!!!!」
小便を飲んでしまった若い衆がのた打ち回った。
これにはおま村も黙っていられない。
男性器型のスピーカーが大音量で誘いをかけた。
おま村
ロマンス
グレイ
「今日は特別ゲストとして
 東京からナンバーワンストリッパー及びに
 ナンバーワン竿師を呼んどるじゃ!
 日頃の健闘を称え、
 んこ村のみなの衆に本番まな板ショーを
 ご覧にいれますじゃ〜!!」
ステージで腰のくびれたストリッパーが
巨乳を揺らしてパンティを脱ぎ、
一糸まとわぬ姿になった。
双眼鏡で見ていた全裸の若い衆たちの股間が天を仰いだ。
その時だ。
おま村からスナイパー花火が放たれ、
若い衆の股間前で炸裂した。
んこ村
若い衆A
「ねばりけのある透明な液体だわさ」
んこ村
若い衆B
「やべえ、これは
 アロンアルファだっしゃ!!!!!」
若い衆たちの股間は大きくなったままの形で、
超強力アロンアルファに固められてしまった。
おま村
ロマンス
グレイ
「どうじゃ、でかくなったまま固められた気分は。
 大きいうちはええが、
 縮み始めたら地獄じゃで〜〜」
本番まな板ショーの前で煙玉が噴出し、
おま村側の巨大スクリーンに
鼻くそをほじくって食べるおばあさんたちの顔が
大写しになった。
これでは若い衆たちのあそこが萎えるのは時間の問題だ。
小林先生と北小岩くんは、
この恐るべき闘いを固唾を飲んで見守った。
花火は決して美しいだけのものではない。
おま村とんこ村のように、
日本にはいくさのかわりに
花火大会が行なわれている地域もあるのである。
各自、心しておきたい。


小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2003-07-30-WED

BACK
戻る