小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の九拾壱・・・選挙


『ああん、いや〜ん。だめ、そこは感じやすいの〜』
「んっ?何や、今のは!?」

とある旅館の一室。
浴衣姿でくつろいでいた小林先生が色めき立った。
先生と弟子の北小岩くんは、
湯治のために一週間ほど温泉地に滞在しているのだ。

「あのあえぎ声は、
 車のスピーカーから聞こえてくるようですね」

北小岩くんの股間も、最敬礼しそうになっている。

「北小岩、ちょいと番頭を呼んできてくれへんか」

「はい」

北小岩くんは怪しく黒光りする階段を下りると、
すぐに番頭を伴い駆け上がってきた。


小林 「お忙しいところ、すんまへんなあ。
 ところで番頭はん、
 外でええ感じの声が轟いとるが
 どないしたんや?」
番頭 「あれは選挙カーの演説なんです。
 候補者は生まれたままの姿になり
 車内で肢体をくねらせていますよ」
北小岩 「それのどこが演説なんですか???」
番頭 「この地区では、
 町民の性欲が高まった頃合を見計らって
 性選挙が行なわれるのです。
 町民をよりウハウハさせた候補が
 当選します。
 議会では町を
 今後どのようにいやらしく、気持ちよく
 運営していくかが話し合われ、
 彼女らはそれを実行していきます。
 好色選挙法に基づいておりますので、
 そそらない候補者は
 選挙違反に問われます」
小林 「なるほどな。
 一般的な選挙やと
 ウグイス嬢がアナウンスするが、
 先ほどの候補者はさしずめアクメ嬢やな」
番頭 「白熱すると上の口はおろか、
 下の口を使って演説する女性も出てきます。
 いい音させますよ。
 そうだ、ちょうど今
 性見放送をやっている時間です」
番頭がテレビをつけると、
スレンダーな全裸美女がこちらに向かって開脚前転をした。
大切な部分にはぼかしが入っている。
もう一方で、巨乳の女性が谷間にマイクをはさんで
上下動させている。
激しい性策論争である。

北小岩 「わたくし、ぼかしの入った選挙番組は
 初めて見ました!」
番頭 「選挙ポスターもモッコリものですよ。
 子供たちが見られないように
 袋とじになっているんです。
 中には候補者のあられもない姿の写真が
 入っています。
 ラッキーな人はモザイク無しです。
 これが前回のポスターですね」
小林先生は袋をのぞきこみ、思わず目を見張った。
と同時に、股間にはテントが張った。
番頭 「この試みが日本全国に広まれば、
 選挙期間中自慰NP(国民総オナニー)が
 爆発的に上昇し、
 日本経済に好影響を及ぼすでしょう。
 近頃日本人はエコノミックアニマルとすら
 言われなくなってしまいましたが、
 エロノコックアニマルとして
 逆襲できます。
 それはそうと選挙運動は、
 往々にして
 ピストン運動に変わることがあります。
 あそこをご覧ください」
旅館に横付けされた選挙カーが
三浅一深のリズムで揺れている。
番頭 「前回の選挙は
 何といっても方式がイッてましたね。
 拘束・・・」
北小岩 「拘束名簿式ですか?」
番頭 「いえ、拘束カラダ式です。
 候補者と支持者が一糸まとわぬ姿になり、
 器具で拘束されたままの状態で・・・。
 実は私も支持者として参加しましてね。
 うひひひひひ」
先生と北小岩くんの股間が生唾を飲み込んだ。
番頭 「選挙には男選挙と女選挙があります。
 男選挙は女性が投票します。
 男性は馬並の人しか立候補できません。
 文字通りの出馬です」
北小岩 「当選者が若い人ばかりに偏りませんか?」
番頭 「熟女やセクシーばあさんの魅力も
 侮れません。
 長年男を翻弄し続けてきた技量は
 卓越しています。
 巧みなリードにころっと投票してしまう
 20代、30代も多いのです。
 男選挙では何人もの女性の下半身から
 涙を流させてきた
 セクシーロマンスグレーも出馬します。
 老若男女織り交ぜての性の祭典です。
 日本では大人になりたくない若者が
 増えていますが、
 ここの若者は早く大人になりたくて
 うずうずしていますね」
小林 「それはそうと、
 あの選挙カーは上の方には小窓が、
 下の方には開き戸がたくさんついとるな」
北小岩 「う〜ん、何か匂いますね。
 わたくし、視察に行ってまいります」
選挙カーは小窓がマジックミラーになっていて
中の様子が見られる構造なのだ。
また、開き戸からイチモツを挿入すると
特別なサービスが受けられる。
つまり移動式の「のぞき部屋」になっているのである。
数分後、スッキリした面持ちで北小岩くんが戻ってきた。

北小岩 「先生、すぐにここに
 住民票をうつしましょう!」
小林 「うむ!だがその前に・・・」

小林先生は部屋を飛び出し選挙カーに猛ダッシュした。
おもむろにパンツを下ろすと開き戸に粗品を差し入れた。
その時だった。
次の演説先に移動するために選挙カーが動き出した。
先生は選挙カーに挿入したままの間抜けな姿で
10メートルほど並走。
だが、車がスピードを上げたため、
地面に打ちつけられてしまった。
ちょうど男選挙の演説をするために
セクシーロマンスグレーが自転車を飛ばしてやって来た。
ロマンスグレーのブレーキが間に合わず、
先生の粗品は前輪で轢かれてしまった。
めでたしめでたし。


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2003-06-23-MON

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