小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の八拾七・・・マイレージ


「おまんで〜〜す!!」
玄関の戸が引かれ、猥褻な声が響いた。
弟子の北小岩くんがチェックに行くと、
髪をちょんまげに結った優男と目があった。
まげと蛍光ピンクのスーツが妙にマッチしている。

「どのようなご用件でしょうか?」
「私はYALという会社に勤める
 陳溜粕男(ちんだまりかすお)というものです。
 当社のマイレージに加入していただきたく、
 参上いたしました」    
北小岩 「家では訪問販売は
 固くお断りしております。
 それにJALのマイレージならば
 存じておりますが、
 YAL(ヤる)のマイレージというのは
 怪しすぎる気がいたします」
小林 「どないした、北小岩。
 おっ、セールスかい。
 まあ、ちょっと話を聞いてみようやないか」
小林先生はへんちくりんなセールスマンには、
なぜか寛容なのである。
陳溜

「マイレージといっても、
 航空会社が行なっているような
 凡庸なものではございません。
 我が社のマイレージは
 『チンマイル』と申しまして、
 自分のおちんちんを使うたびに
 マイルがたまっていくのです。
 蓄積したマイルに応じて無料で海外に飛べ、
 その国の美女とのお楽しみが待っているという
 ウハウハなシステムなのです」

小林 「ほほう!」
陳溜

「例えば2,868マイルでバンコク、
 6,206マイルでパリ、
 11,553マイルでリオデジャネイロ。
 このようにマイルは対応し、
 異国で選りすぐりの」

小林 「キレイ所に搭乗できると、
 そういうわけやな。
 ええやないか!」
陳溜

「私自身この仕事につく前に
 客として7万マイルため、
 7大陸の美女すべてを制覇しました。
 それにもし
 マイルがたまらなかったとしても、
 最高級ダッチワイフや特選エロ本など、
 さまざまな特典と
 交換することができます」

小林 「そのカードはいくらするんや」
陳溜

「19万円です」

北小岩 「随分とお高いようですが」
ノリスケ 「いや。
 タダ同然の安さやな。
 たったの19万円で、
 世界中の観音様とこんにちはや。
 ところで陳溜はんは
 ちんちんを使うたびにと言っていたが、
 自分ひとりで使う場合にも
 マイルはたまるんかいな」
陳溜

「もちろんです。
 インサートの3分の1ほどの
 マイル換算になりますが」

小林 「それならば、南極のセクシー姉さんも
 北極のおぼこ娘もすべて俺のもんやな。
 よし、買った。
 北小岩くん、金庫から
 19万円を運んできて
 この方にお渡ししなさい」
陳溜

「ありがとうございまんした」

北小岩 「・・・・・」
小林 「ところでこのカードに、
 女性用はないんかいな」
陳溜

「もちろんございます。
 女性は秘所を使うたびに
 マイルがたまります。
 『マンレージ』といいます。
 チンマイルカード会員の男性と
 マンレージカード会員の女性が
 事に及んだ場合、
 双方とも特別にマイルは19倍になります。
 これを当社では
 イクイクサービスと呼んでおります」

小林 「よくできたサービスや。
 よし、掘り出しもんを
 売ってもらったんやから、
 俺もマンレージの営業に
 一役買ってやるわい」
チンマイルカードを手に入れた小林先生は、
マンレージカードを餌に美人としっぽりいたした上に、
海外の美女とも酒池肉林しようと企てている。
小雨のそぼ降る中、小林先生は
若者たちのナンパの名所として有名な
通称おめこ橋に出張った。
欄干のそばにひざ上30センチのスカートをまとい、
パンティがもろ見えしている
パッツンパッツンの女が佇んでいた。
小林 「そこのお嬢さん。
 『私、カラダの奥がうずいているの』と
 お顔に書いてありますよ。
 そんなあなたに、
 マンレージカードはぴったりです。
 あなたの愛らしい花園が
 蜜をしたたらせるたびに
 マンレージがたまり、
 わたくしと
 熱い一夜を過ごした暁には・・・」
パン
もろ美人
「何ごちゃごちゃぬかしてんだよ。
 マンレージだと?
 ふざけんな、
 このハイエナちんぽ野郎!!」
グサッ!!!
小林
先生の
金玉の声
「き〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん」






傘による一撃は金的を的確に射抜いた。
あまりの衝撃に、
先生は内股の体勢でくずれ落ちた。
体がバウンドし、
胸ポケットにしまっておいたチンマイルカードは
川に落ちメタンガスの気泡とともに闇に消えていった。
小林先生は19万円をふいにしたばかりでなく、
玉袋が破れて今にもタマキンが飛び出しそうになっている。
「飛び出せ青春!」。
そんなタイトルが浮かんできたが、
あまり意味はないだろう。

先生はその後半年間、
下半身の安静を強いられることとなった。
だが、それはチンマイルなどといういんちき話に乗せられ、
世界中で肉欲に溺れようと目論んだ
卑しい下半身への天罰だ。
甘い話には棘があり、
その棘は自分の一番大切なモノに牙を剥く。
自戒したいものである。

2003-04-13-SUN

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