小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の八拾弐・・・保証人

北小岩 「先生、大変です!!」
弟子の北小岩くんが庭を掃除していると、
内股で歩いてきた男が突然門前で倒れたのだ。
書斎で団鬼六著「お柳情炎」を
熟読していた小林先生が、
股間をふくらませながら駆けつけた。
小林 「どうしたんや!
 あっ、これは細竿はんやないか!!」
先生は倒れている男を抱きかかえて家に上がると
布団に寝かせた。
男はなぜか風呂敷を背負っている。
小林 「あんなに恰幅のよかった細竿はんが、
 こんなにげっそりやせ細ってしまったとは。
 きっと細竿はんの身に
 恐るべき災厄がふりかかったに違いない。
 なにせこの風呂敷に入っているのは、
 命よりも大切にしていたエロ本やからな」
細竿譲(ほそざおゆずる)氏は
小林先生の古くからの友人である。
先生行きつけのエロ本屋で
何度も顔を会わせるうちに仲よくなり、
自慢のエロ本を貸し借りしながら
親交を深めてきたのだ。
細竿 「はっ、ここは?
 あれ、小林先生じゃないですか」
小林 「気がついたか。
 細竿はんは家の前で倒れてしまったんや。
 いったい何があったんか?」
細竿 「私はもうおしまいです。
 ですから宝物のエロ本を
 先生に差し上げるためにやって来たのです」
小林 「細竿はん。
 どんなにつらい目にあったのか、
 話してくれへんか」
細竿 「・・・はい。
 実は私、いとこの連帯保証チンに
 なってしまったのです」
北小岩 「何ですか?
 連帯保証チンというのは?」
小林 「それはな、この世で最も危険な
 ちんちんの保証人のことや」
細竿 「いとこは性豪なので、
 性欲の人一倍強い女と
 結婚したいと願っていました。
 ぴったりの相手を見つけ
 プロポーズしたところ、
 女は条件付きで了承しました。
 それは1日3回のノルマというものでした。
 女はさる者で、
 いとこがアウトになった時に
 備え連帯保証チンをつけることを
 忘れませんでした。
 私はいとこに懇願されて・・・」
小林 「契約書にチン鑑を押してしまったんやな」
細竿 「私が幼い頃から弟のように
 可愛がってくれていたのです。
 それに1日5回OKの
 タフネスと聞いていたので
 つい大丈夫だと思い・・・」
小林 「北小岩には後学のために解説しておく。
 チン鑑はちんちんに
 朱肉をつけて押すんやが、
 契約が成立したら絶対の力を持つ。
 このケースでは
 いとこが1日3回
 コトに及べなくなった時には、
 替わりにチン鑑を押した者が
 一生代行し続けなければならんということや」
北小岩 「なんと!」
細竿 「いとこは結婚後快調なペースで
 飛ばしていましたが、それも半年でした。
 1年たたないうちに
 不能になってしまったのです。
 女は契約書を手に
 私の家に押しかけてきました。
 私も決死の覚悟で1日3回励みました。
 でも3日が限度でした」
北小岩 「細竿さんの好みのタイプだったのですか?」
細竿 「いえ。
 好みとか好みじゃないとか
 そんなレベルではありませんでした。
 運慶の金剛力士像を女にして
 ぶくぶくに太らせた図を想像してください。
 そのうえ万力(まんりき)が
 とんでもなく強く、
 最後の一滴まで搾り出されてしまうのです」
小林 「よく3日も持ったな。
 たいしたもんやで。
 それからどないしたんや?」
細竿 「あまりの苦痛に耐え切れず、
 ついにサラちんに手を出してしまいました」
小林 「サラリーマンちん融で、
 ちんちんの補強融資を
 受けてしまったんかい」
細竿 「はい。
 それでも追いつきませんでした。
 最初のサラちんに返済するため
 他のサラちんから借り、
 後は雪だるま式に。
 しまいにどこからも
 借りれなくなってしまいました」
小林 「とはいえ闇チンには
 手を出してないんやろな」
細竿 「・・・」
小林 「細竿はん・・・」
細竿 「藁にもすがる思いで、
 闇チン融からおちんちんを
 10本借りてしまいした。
 闇チンの利子はト・イチでした。
 十日で一割私のおちんちんが
 けずりとられてしまうのです。
 しまいにおちんちんは
 跡形もなくなってしまいました」
北小岩 「だから細竿さんは
 あのような内股で歩いていたのですか」
細竿 「はい。
 おちんちんを失ったことで
 女からは解放されましたが、
 エロ本も必要なくなってしまいました。
 そこで先生にもらっていただきたく
 参上したところ、
 貧血で倒れてしまったのです。
 貧血というよりは、
 チン欠と言ったほうが
 正しいかもしれませんがね・・・」


細竿氏は己を蔑むようにつぶやくと大粒の涙をこぼした。
闇チンは出資法上限チン利を無視した違法業者である。
だが、覆水が盆に返らないように、
失われたおちんちんが
再び彼の股間に戻ることはないだろう。
連帯保証チンからサラちん、そして闇チンへ。
それは男の地獄のフルコースなのだ。

今、闇チンには「ト・イチ」どころか
「ト・ゴ」(10日で5割)、
「アケ・イチ」(1日1割)、
「アケ・サン」(1日3割)まで登場しているという。
男の股間に魔の手が忍び寄っているのだ。
これは決して他人事ではない。
すべての男はくれぐれも軽い気持ちで
連帯保証人の契約書にチン鑑を押さないよう心がけたい。
そして、生き地獄に陥らずに
末永くちんちんと共に
歩んでゆかねばならないであろう。

2003-03-02-SUN
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