小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の八拾・・・用品

「どうなされましたか?」
夕焼け空を背に縁側でにやけている小林先生を見て、
怪訝な表情で弟子の北小岩くんがたずねた。

小林 「実はな、昨日、
 隣町の用品店でええもんを買うたんや」
北小岩 「と申しますと?」
小林 「その前にひとつ問いたいが、
 おまえは男にも生理があると思うか」
北小岩 「女性とは形態が異なりますが、
 あるような気がしております」
小林 「そやろ。
 俺はな、男の2大生理は
 ムダな勃起と夢精とにらんどる。
 そこで以前から男の生理に有効な物品を
 さがし求めていたんやが、
 ついに手に入れたんや」
なんでも昨夕、小林先生が隣町を散策していたところ、
町はずれに男の生理用品店
『もっこり堂』を発見したという。
小林 「とんでもなく充実した品ぞろえやったで」
北小岩 「どんなものがあるのですか?」
小林 「例えばムダな勃起をおさめる用品や」
北小岩 「?」
小林 「かいつまんで言えば、
 ムダな勃起の中でも
 とりわけムダなのが
 朝勃ち(あさだち)やろ。
 これからいい目を見るわけでもないのに
 勘違いしてデカくなり、
 小便がとてもしづらくなる。
 方向が定まらず
 便器からはみ出てしまうことすらある。
 俺はそれを避けるために、
 朝勃ち時には洋式便座に座り、
 ちんちんの頭を無理やり下げさせて
 放尿しとるんや」
北小岩 「何も悪いことをしていないのに
 強引にごめんなさいをさせられるのは、
 おちんちんにとっても
 不本意なことだと思います」
小林 「そこでこの『勃起チン圧軍隊蟻』や。
 この箱の中に厳しい訓練を施された軍隊蟻が
 69匹入っておる。
 そびえ勃つちんちんの生命線、
 蟻の門渡りに向かってこの蟻を放つんや。
 そうすると蟻の門渡りがおびえて玉が縮みあがり、
 朝勃ちが無事鎮圧されるとまあこういう寸法や」
北小岩 「軍隊蟻の派遣ですか。
 とてもダイナミックな方法ですね」
小林 「それだけやないで。これを見てみい」
いつの間にか先生の手には、
きりたんぽのような物が握り締められている。
小林 「これは言うなれば夢精用のおむつや。
 秋田名物きりたんぽをヒントに
 作られたんやな。
 きりたんぽ型生理用品なので
 名前は『きりたんぽん』。
 就寝前にちんちんに装着すれば、
 白い精をおもらししても
 おむつがわりになる。
 多い日も安心や。
 特筆すべきは
 きりたんぽ同様米で作られているため、
 万が一の時食べられること。
 だからイチモツをよく洗ってから
 装着するのがエチケットやで」
北小岩 「万が一の時といいますと?」
小林 「きりたんぽんを着けて寝ている最中に
 大地震が起きたとするわな。
 家屋が倒壊し
 夜中に路頭におっぽり出される。
 もし飢餓状態に陥ってしまっても
 それを食べて飢えをしのげるんや。
 サバイバルグッズの機能も
 搭載しとるんやな。
 その時そばにお腹をすかせた
 美しい女性がいたとする。
 そしたらすかさず差し出す。
 女性は飢えから逃れられたことと
 その男のやさしさに感謝感激や。
 また、きりたんぽんの穴の大きさ、
 深さにより男のイチモツの品定めもできる。
 きりたんぽんは食欲と性欲という
 人間の二大欲望をしっかり押さえた
 とてつもない代物やで」
北小岩 「なるほど!
 それがきっかけで女性と交際が
 始まるかもしれませんね。
 すでにイチモツのサイズと
 いざという時のやさしさを
 知っているのですから、
 その後の展開も早いでしょう。
 ちん心(ちんしん)ともに
 器のデカい男と思われることは
 間違いありません!!」
小林 「そやろそやろ。
 そんなわけで、これから俺も
 存分にええ思いさせてもらうで」
小林先生はあわよくば女性に食べてもらい
大人のお付き合いに持ち込むために、
きりたんぽんを装着して眠りについた。
その夜、地震は起きなかったが、
明け方に先生の下半身にとてつもない激震が走った。
小林 「いてえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」


先生の股間がもっこりしたことを察知した軍隊蟻が、
総攻撃を仕掛けたのだ。
興奮した蟻は歯止めがきかなくなり、蟻の門渡りは壊滅。
ちんちんの根元も損傷し、
先生はきりたんぽんを着けたままの状態で
病院に担ぎ込まれた。
薄れゆく意識の中で、
きりたんぽんを引き抜いた看護婦さんの
「このド変態野郎!」と罵る声が耳の奥でこだました。



軍隊蟻による傷は深く、
退院してからも玉袋からサオにかけて
包帯でぐるぐる巻きにしていなければならなかった。
それから三ヶ月間、
先生はツタンカーメンもびっくりの
ちんちんミイラ男として、
人々の失笑を買い続ける破目になった。

2003-01-31-FRI

BACK
戻る