小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の七拾八・・・合併

「もはや、ぎりぎりのところなんやろな」



経済新聞から目をはなすと、
小林先生がため息をついた。


「銀行に自動車、製鉄、市町村に至るまで、
 合併しなければ立ち行かないようになっております」



先生の横で鰹節を削っていた弟子の北小岩くんが、
間髪をいれずにこたえる。

小林 「だがな、これからは
 俺たちも合併と無縁ではおられんで」
北小岩 「先生のような自由業者でも
 合併が必要なのですか?」
小林 「仕事のことやない。
 まあ、ここから先は専門家に
 任せたほうがええやろな」
小林先生と北小岩くんは、
合併についてのオーソリティーである男の
もとを訪ねた。
小林 「こちらが下半身経営コンサルタントの
 如意棒大ノ介(にょいぼうだいのすけ)はんや」
如意棒 「どうもこんにちは。あなたは北小岩さんですね。
 先生からよくうかがっています。
 ところで北小岩さんは自分の
 おちんちんの将来について
 どのようにお考えですか?」
北小岩 「はっ?
 まあ、気持ちよさを
 そこそこ味わい続けてくれれば
 幸いかなあと・・・」
如意棒 「甘いですね。
 今まではそれほど苦労せずに
 おちんちんもいい思いができたでしょう。
 でも、これからはそうはいきません。
 様々な制度が疲弊し、
 有効に機能しなくなった世の中で
 勝ち残っていくためには、
 男たるもの、一人一人が
 おちんちんの経営者であることを
 自覚して事にあたらねばなりませんね」


北小岩 「わたくし、
 今まで自分がおちんちんの
 経営者であるなど考えたことも
 ございませんでした!」
如意棒 「低成長時代を生きるおちんちんたちは、
 事業の効率化を迫られています。
 今、企業間では大胆な合併が行われていますが、
 各々の長所と短所を熟考して統合せねば
 競争から置き去りにされてしまうのです。
 それは企業だけの問題ではありません。
 おちんちんだって同じことです。
 これからはおちんちんも
 積極的に合併していかなければ
 市場からの撤退を余儀なくされるでしょう」
北小岩 「なんと!」
小林 「そうや。
 例えば巨大なイチモツを持っていながら
 モテないために、
 そのでかさを生かしきれていない男Aがいるとする。
 また、かなりモテるもののいざという時に
 短小であるがため、
 女性を満足させられない男Bがいるとする。
 その場合、男Aのちんちんと
 男Bのちんちんは一緒になった方が、
 経済効率は高まるわな」
如意棒 「統合時には、恥垢やあまった皮など
 無駄なものはリストラされます」
北小岩 「なるほど!企業もただくっつくだけじゃダメで、
 スリム化した上で
 これからの戦略を立てていかねばなりませんものね。
 でも気持ちよさに関してはどうなるのでしょうか?」
小林 「合併したちんちんでことに及ぶわな。
 その時には持ちモノの大きさに応じて快感の
 分配比率が変わってくる。
 つまり大きなちんちんの持ち主は大きな快感を得、
 小さなちんちんの持ち主は
 それなりの快感が分配される。
 だが、お互いの弱点が補強されているため、
 大局的に見ればそれぞれが
 これまで以上の利益を享受することになるんやな」
北小岩 「今のお話をうかがって、
 合併の重要性を痛感いたしました」
小林 「そうやろ。そこで提案や。
 お前みたいにモテない男が股間に
 ぴかぴかのマグナムをぶら下げとっても、
 いずれ過剰設備になるだけや。
 まあ、俺と合併して絶頂を山分けしようやないか。
 快感比率は大まけにまけて、
 俺が9、お前が1でどうや!!!」
北小岩 「はい。かしこまりました」




北小岩くんのモノが意外に立派なことを
銭湯でさりげなく確認済みの先生は、
有無を言わさず承諾させた。
どこまでも従順な北小岩くんは、
小林先生の不平等契約を素直に受け入れた。
実際のイチモツの体積からいけば、
快感比率は先生が1、
北小岩くんが9というのが妥当なところだろう。

「これでもう、明日からウハウハやな」

小林先生はふにゃけた顔でよだれをぬぐった。
だが、どんなにイチモツだけが大きくなっても、
先生がまったくモテないことには変わりない。
とてつもない不良債権を
押し付けられたのは北小岩くんの方だ。

それから数ヶ月、二人は女性を
ゲットすることができなかった。
半年後、合併したおちんちんはあえなく倒産。
会社更生法の適用申請をしたがもちろん却下された。
先生と北小岩くんは、
世界で初めておちんちんを倒産させた
チンカス野郎として、
暗黒の経済史にその名を留めてしまったのである。

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2003-01-19-SUN

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