小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の七拾六・・・環境破壊

「先生、このままいくと
 地球はどうなってしまうのでしょう!」

環境問題の本を片手に、
弟子の北小岩くんが書斎に駆けつけてきた。

「進化は後戻りできないとはいえ、
 未来の人たちに
 少しでも現状に近いままバトンを渡していくことが
 重要なのではないのでしょうか!」

「そうやな。
 物質の豊かさと自然の豊かさが
 反比例しているような社会ではしゃあないやろな。
 一人一人がもう少し真剣に
 自然環境について考えねばならん。
 そうや、俺の先輩に環境学の権威がおる。
 博士のところにいって
 忌憚のない意見をうかがおうやないか」

小林先生と北小岩くんはボロ市で買ったコートを羽おり、
台東区千束4丁目にある環境研究所に
博士をたずねていった。

小林 「先輩、ごぶさたしております。
 北小岩、こちらが下半身環境学者の
 珍方勝(ちんぽうまさる)博士や」
北小岩 「始めまして。
 わたくし、北小岩と申します。
 地球では今、
 さまざまな環境破壊が進行しております。
 環境破壊といえば
 地球温暖化や酸性雨などが頭に浮かびますが、
 まだまだわたくしの考えの及ばない問題が
 あるのでしょうか?」
珍方 「そうですね。
 有史以来地球では
 天文学的数字のエロ本が出版されてきました。
 いらなくなったエロ本は焼かれ、
 空に昇っていきました。
 その煙の量も尋常ではありません」
北小岩 「それは気温上昇の原因となりますね」
珍方 「もちろん二酸化炭素排出の問題もありますが、
 それ以上に深刻なのは
 空に昇ったエロ本の煙が
 オゾン層を興奮させていることなのです」
北小岩 「オゾン層は興奮するのですか?」
珍方 「もちろんです。
 オゾン層には
 紫外線をさえぎる役目がありますが、
 興奮するとオゾン層の股間に
 オゾンが集中してしまい、
 他の部分に穴があいてしまいます」
小林 「それはあかんな。
 埋めると土にかえり
 植物のおしべにいい影響をあたえる
 エロ本の開発が急務やな。
 他にはいかがですか?」
珍方 「人間の心無い行為が
 希少動物を絶滅の危機に追いやっています。
 日本で言いますと
 イリオモテヤマネコやニホンカモシカなどです。
 私の研究によれば
 森に入ったカップルが青カンをして、
 コンドームをそのまま捨ててきてしまうのです。
 そのコンドームが何らかの弾みで
 オスのペニスに装着されてしまい、
 オスがいくらがんばっても
 メスを妊娠させることができずに、
 種がさらに減少してしまっているようなのです」



小林 「外に出てまで快感をむさぼろうなどという
 恵まれたカップルがいるだけで
 無性に腹が立つのに、
 その上使い捨てられたコンドームが
 種を絶滅に追いやろうなどとは
 心の底から憎まずにはおれんな」
珍方 「昇天する瞬間にイチモツを抜き、
 川や湖を汚してしまう輩もおります。
 しょう油1さじを水の中に入れると、
 魚が元のように住めるようにするには
 浴槽1杯分の水が必要といわれています。
 白濁した液が大さじ1杯分もたらされたら、
 魚たちが納得して再び気持ちよく生活するには、
 浴槽1000杯分以上の水がいることでしょう」
小林 「自然の中で乳繰り合った上に、
 それほどまでに
 環境破壊するヤツがいるなんて・・・。
 成敗せずにはおかん!!!」
珍方 「まあ、そんなに興奮なさらずに。
 実はあなたや北小岩さんのような方でも、
 知らず知らずのうちに
 自然に大ダメージを与えていることは
 十分考えられるのです」
北小岩 「どういうことですか?」
珍方 「北小岩さんはバタフライ効果をご存知ですか」
北小岩 「はい。
 ブラジルのチョウの羽ばたきが、
 テキサスにトルネードを起こすかもしれない。
 つまり地球の裏側で起こった些細なことが、
 地球の反対側の気候に
 大きな影響を与える可能性がある
 ということですね」
珍方 「そうです。
 ところでお二人とも
 街でパッツンパッツンのいい女を見たら
 体に何か変化が生じませんか」
小林 「まあ、もっこりしてしまうことがありますな」
珍方 「それです。
 男のモノが起つ時には
 ほんのわずかですが風もたちます。
 つまり日本の勃起で起きた風が、
 ブラジルの熱帯雨林に暴風を起こし、
 貴重なジャングルを枯らしてしまうことが
 ありうるのです」



小林 「なんと!
 それじゃあ俺や北小岩のように女に恵まれず、
 無駄に起き上がっては
 何も起こらず再び寝るという
 無駄勃起をくりかえしてる野郎どもが、
 環境破壊に加担している可能性がある
 ということなんやな!」
珍方 「そうです。
 子孫繁栄のために
 起ちあがらねばならぬ時は仕方ありませんが、
 それ以外の無駄な風おこしは
 環境の面から考えてもさし控えたいものですね」
小林 「そうやったか。
 それは自戒せねばならんな。
 珍方博士、とてもためになるお話を
 ありがとうございました」

小林先生と北小岩くんは険しい表情で家路をたどった。
とその時、前から胸を大きく開いた
ボディコン女が歩いてきた。

小林 「北小岩、試練やで!」
北小岩 「はい!」


だが通り過ぎる時にボディコン女が
ノーブラであることに気づいた二人の股間から、
かなり強い風が吹いてしまったことは
言うまでもないだろう。

2002-12-18-WED

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