おしい!食べられるんです!
チャナメツムタケ
食
写真と文章/新井文彦

北海道には梅雨がないと言われていますが、
ここ道東の阿寒湖周辺エリアに限るなら、
梅雨はあります!と声高に叫びたくなるほど、
6月から7月中旬くらいにかけて雨の日が続きます。
いわゆる、蝦夷梅雨ですな。

阿寒湖の標高は約400mくらい。
雄阿寒岳や、雌阿寒岳、フップシ岳など、
周囲に山々がそびえ、やや山岳地帯の様相を呈します。
山の天気は変わりやすい、と言いますが、
1日中ころころと天気が移り変わり、
予報するだけ無駄ではないかと思えるくらい、
天気予報がまったく当たりません。

でも、まあ、雨がたくさん降れば、
カビの仲間であるきのこは大喜びのはずなので、
結果的には良しとしますが……(笑)。

ちなみに、経験値で言うなら、
6月にたくさん雨が降った年には、
「マ」がつく日本人羨望の秋の味覚が、
たくさん採れるように思えます……。

そんな雨ばかりが続く6月中旬頃、
蝦夷梅雨の晴れ間に森へ行くと、
初夏というよりも新緑の季節という方がぴったりの、
目にも鮮やかな木々の葉が迎えてくれます。

草花の緑に覆われたイタヤカエデの古い倒木に、
出始めたばかりの、幼いきのこ発見!
チャナメツムタケです。

あれ、でも、チャナメツムタケは秋のきのこでは?
と思ったのですが調べたら初夏にも発生、とのこと。

チャナメツムタケは、
半ば地面に埋まったような倒木、
あるいはその周辺から発生する中型のきのこ。
直径4〜10cmほどの煉瓦色の傘には、
湿っているときにはやや強い粘性があり、
若いうちは綿毛のような鱗片が付着しています。

柄の上部は帯白色、下部はやや褐色を帯び、
繊維状で、ささくれがあります。
高さは5〜10cmくらいです。

きのこファンには秋の味覚として知られるきのこで、
ぬめりを生かすような、汁物、鍋物によく合います。
ぼくも味噌汁の具にして食べたことがありますが、
コクもあり、おいしゅうございました。

チャナメツムタケは、
漢字で書くと、茶滑紡錘茸。
ぜったい、読めませんよね(笑)!

『新辞林』で紡錘の意味を調べると、
「綿などから糸を引き出し、
 よりをかけながら巻き取る道具」
とあるので、画像検索をしてみたのですが、
その形を見ても、どうしてこの名がつけられたのか、
今ひとつはっきりしませんでした……。
あしからず。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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