不正解、食べられます!
シロヤマイグチ
食
写真と文章/新井文彦

いつも申しておりますが、
ひと口に、きのこファンと言っても、
人それぞれ、楽しみ方が違います。

いちばん多い楽しみ方は、間違いなく、
採取したきのこを食べることでしょう。
森で発生するきのこは、すべてが「旬」ですし、
人工栽培が不可能な種類があったりしますし、
きのこ食!が好きな人にはたまりませんよね。
毒きのこを食べないように、
くれぐれも注意していただきたいものです。

今回ご紹介するシロヤマイグチは、
人工栽培が非常に難しいとされる菌根菌、つまり、
地中で菌糸と木々の根が「菌根」という器官で繋がって、
お互いに足りない栄養をやりとりをする、
というタイプのきのこなので、食べられるきのこですが、
世間には、まったくというほど出回っていません。

まあ、それほどおいしいきのこでもないので、
立ちはだかる難関をクリアして人工栽培するまでもない、
というのが現実なのではないかと思われますが……。
けっこうマニアックなきのこ料理方法が掲載されている、
あの、山と溪谷社『日本のきのこ』増補改訂新版をして、
「食」とあるものの、料理方法が記してありません。

シロヤマイグチは、秋の真っ盛りに、
ダケカンバなどカンバ類の樹下で発生します。
傘の直径は3〜7cmくらい、高さは5〜12cmほどです。
ちょっとフェルトっぽい肌触りの傘は白〜灰色系、
(触ると、薄い黄〜桃色系に少しだけ変色します)
イグチの仲間特有の傘裏の管孔も白〜灰色系、
やや褐色を帯びた細かい鱗片がある柄も白〜灰色系、
全身真っ白なので、他の似たようなイグチ、例えば、
ヤマイグチとか、キンチャヤマイグチとかと、
間違うことは、まずないと思われます。

ここに挙げた「ヤマイグチ3人衆」はすべて可食ですが、
お味は、キンチャヤマイグチがいちばんマシかも(笑)。

きのこを食べるのが好きな人も、
きのこの写真を撮るのが好きな人も、
きのこの種類を調べるのが好きな人も、
とにかく、きのこが好きなすべての人が、
いちばんワクワクするのは、
まず、間違いなく、きのこを見つけたときではないかと。
あ、あった!という、その瞬間のために、
自分の「縄張り」へ通い続けてしまうんです。

きのこを見つけたものの、毒きのこだからと言って、
踏んだり、蹴っ飛ばしたりするのは、最悪です。
きのこ好きの風上にも置けません。
ほぼ日読者の皆さまにおかれましては、
くれぐれもなさらぬようにお願いします。

人も、柴犬も、きのこも、粘菌も、
今、地球で生きているすべての生物が、
最初の生命発生から38億年も進化を重ねた最新モデル。
いかなる生命にも、貴賎なし、です。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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