食毒不明。疑わしきは食せず。
アカダマスッポンタケ
食毒不明
写真と文章/新井文彦

2014年の夏の終わり頃のこと。
知人のKさんが、変なきのこを見つけた!
と、twitter に写真をアップしました。

オホーツク海の海岸で偶然発見したそのきのこは、
見かけはほとんどスッポンタケなのですが、
なんと砂の中から顔を出している!

砂浜に生える大きなきのこはとても珍しいので、
地元の博物館や北海道大学に連絡したらどうか、
とアドバイスしました。

Kさんが採取した標本は、
地元博物館を経て専門研究機関へと送られ、
DNA鑑定などを行って詳しく調べられた結果、
アカダマスッポンタケだと判明。
その年の12月に発表されるやいなや、
テレビの全国放送や全国紙でも詳しく報じられ、
きのこファンの間では大騒ぎになりました。

アカダマスッポンタケは、日本では、
標本つきで確認されたケースが過去に1例しかなく、
(2007年に北海道の石狩海岸で発見!)
絶滅危惧種!に指定されている超レアきのこ。
ほんと、すんごい発見だったんですねえ……。

アカダマスッポンタケは、前述したように、
スッポンタケとほとんど同じ姿をしています。

成菌の高さは、20cm弱くらい。
まんまるぷにぷにの菌蕾を割るように、
スポンジ状の柄(托)が伸びていきます。

菌蕾は、通常、砂の中に埋まっているのですが、
名前の由来どおり、まさに「赤玉」なんです。
これが、空気に触れると、みるみる紫に変色。
この変色がアカダマスッポンタケの最大の特徴です。

楕円形で網目状の隆起がある頭部には、
グレバと呼ばれる、そりゃあもう臭い臭い、
胞子入りの粘液が付着しています。

食毒不明、というより、食禁止!
絶滅危惧種を食べたらはっきり言って犯罪です。
もしも、海岸で、
スッポンタケのようなきのこを見つけても、
静かに見守るようにしたいものですな。
海岸性のきのこは、自然海岸の減少などによって、
ただでさえも、生存の危機にあるそうですから。
(この写真の撮影地にもゴミがたくさん……)

それにしても、きのこ、砂からも生えるのか。
不思議だなあ……。

アカダマスッポンタケは、どうやら、
ハマニンニクとかハマニガナといった、
砂浜に生える植物と菌根関係にあって、
お互いに栄養をやり取りして支えあっているようです。

そう言えば、
絶滅危惧種のアカダマスッポンタケ発見!
というニュースを伝えるときに、
インターネットのいくつかのサイトでは、
「見た目がちょっとエッチな」
とかいう見出しをつけてました(笑)。
確かに、まあ、男性のあれに似ていますけど……。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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