食毒不明。疑わしきは食せず。
コガネテングタケ
毒
写真と文章/新井文彦

タマゴタケに、ベニテングタケに、ドクツルタケなど、
テングタケの仲間の、幼菌の可愛さたるや、
筆舌に尽くしがたいものがあります。

卵のようにまんまるとした姿はもちろん、
開く前の丸みを帯びた傘が「殻」を破って、
ちょいと伸びた状態を目の当たりにしようものなら、
きのこファンならずとも、
キュン、としてしまうこと間違いなしです。

テングタケの仲間の幼菌が、
卵のような形をしているのは、
次世代に命をつなぐ大切な大切な胞子を、
つくりだし、拡散させる器官である、
きのこ(=子実体)を保護しているから。
この「卵」を、外皮膜といいます。

材質?が違うためなのか、
タマゴタケやドクツルタケの外皮膜は、
きのこ(=子実体)が伸びてくると、
ぱかっと割れて柄の根本にツボとして残りますが、
ベニテングタケの外皮膜は、
千切れて傘に張り付いてしまうんですね。

ベニテングタケの特徴とも言える、
赤い傘に付着している白い点々(=イボ)の正体は、
千切れた外皮膜だったのです、はい。

成長したきのこの柄の上方を見ると、
だらりとぶら下がった膜のようなもの、
いわゆるツバが付いていることが多いのですが、
これは、胞子をつくる傘の裏側のヒダを、
さらに保護していた内皮膜の名残り。
きっちりガードしてるんですねえ。

そして、どうです、
この、コガネテングタケの幼菌。
まるで金色の雪だるまですね。
かわいいなあ!

コガネテングタケは、夏の盛りに、
主に広葉樹の森の地面から発生。
傘は黄金色というか黄褐色で、
周辺に向かうにつれ色が淡くなります。
直径は大きなもので10cm弱くらい。
外皮膜の名残りである黄色いイボが、
びっしりと付着しています。

柄は淡い黄色。
上部には硬質のツバがあり、
そこから根本にかけては表面が粉状です。

毒成分は不明ながら、誤食すると、
胃腸系、神経系の中毒を起こすとか。
どうぞご注意のほどを。

テングタケの仲間は、成菌になった後でも、
傘と柄を持つ、典型的なきのこの形をしているので、
食べられるとか毒があるとかそんなことお構いなしに、
鑑賞対象として本当に素晴らしいと思います。
森で見つけたら、ぜひ、じっくり観察してください。

コガネテングタケの成菌の写真はこちらでご覧あれ。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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