おしい!食べられるんです!
アメリカウラベニイロガワリ
食
写真と文章/新井文彦

大人が両手で抱えきれないくらいの、
樹齢何百年というアカエゾマツが林立している森。
「純林」と呼ばれていますが、もちろん、
アカエゾマツ以外の樹木も生えています。

阿寒の短い夏が終わって秋になると、
緑一色に見えていた木々の葉が粧いを新たに。
真っ赤な葉っぱはナナカマド。
黄色い葉っぱはイタヤカエデ。
赤〜茶色の葉っぱはコナラやミズナラ。
針葉樹の森とは言え、紅葉もそこそこ楽しめます。

木々の葉が美しく色づき始めているのに、
それに目もくれず地面ばかり凝視して歩いていると……。
はい、可愛らしいずんぐりむっくりきのこを発見!
典型的な、アメリカウラベニイロガワリです。

「典型的」とわざわざ言うには訳がありまして、
阿寒湖周辺で見かけるアメリカウラベニイロガワリは、
傘がやや赤っぽいものが多いんです。
おそらく、別種ではないはず……。

アメリカウラベニイロガワリの特徴としては、
赤褐色〜暗褐色で、ビロード状のち無毛・平滑な傘、
傘の裏側の管孔は黄色で孔口は真っ赤、
柄は黄色地に暗赤色の微細な点々が付着、
柄の根っこには黄色い菌糸が見られる、
傘も柄も傷ついたりすると色が濃い青に変化する、
などが挙げられます。

「アメリカ」はともかく、
特徴をそのまま名前にしたきのこですな。

そして、そして、
アメリカウラベニイロガワリは、
その見かけによらず、けっこう優秀な食用菌です。
お味も、まろやかな風味で、グッド!
じっくり煮こむ料理に合うとか。

ただし、猛毒きのこの、
バライロウラベニイロガワリに似ているので、
同定に自信が無い人は要注意のこと。

写真を撮影したこの個体は、
傘に無数の傷があって柄も切れたりしてますが、
形も色も美しいことには変わりありません。

生息環境も含めてきっちりきりり撮影するより、
ほんわか優しく撮ってあげた方がいいなあ、
などと考えつつ、
例えばあれ、あるいはそれ、もしかしたらこれ、などと、
レンズを交換してみたり、露出を変えたりして、
楽しみながら撮影しました。

幸いなことに、きのこはずっと動かないので、
じっくりいろいろトライできるんですよね。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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