おしい!食べられるんです!
サクラシメジモドキ
食
写真と文章/新井文彦

仕事できのこの写真を撮影しているほどなので、
かなり「上級」のきのこ愛好者だと思われがちですが、
ぼくなんか、まだまだひよっこ、半人前。
上には上がいます(笑)。

ツイッターやFacebookなど、SNSで、
きのこ好きの方々とやりとりをすることがありますが、
研究者とか、いわゆるきのこのプロではない方々でも、
まあ、皆さん、きのこ愛にあふれていて、
情熱的で、博学で、すごい!のひと言。
菌学研究はアマチュアが大活躍だそうですが、
さもあらん、です。

ぼくは、きのこを見るのが好きで、
きのこや、きのこが生えている環境などを、
写真に撮影するのが大好きです。
でも、分類なんぞはからっきしダメで、
いつも阿寒の森で見慣れているきのこも、
名前を知らないものがいくつもあります。

分類、と言えば、
きのこの分類は、長きにわたって、
形態的な特徴、つまり見た目で整理されていましたが、
1990年代後半からDNA情報を活用するようになり、
その結果、分類体系が大きく変わりつつあります。

小さい穴が集まったような管孔がないどころか、
傘すらないまん丸ごつごつのジャガイモタケが、
新分類では、なんと、イグチと同じ仲間。
そんなこと、突然言われても、
おいおい、という感じ(笑)。
困っちゃいます……。

形態的特徴での分類が時代遅れになる、
という事態になると、モドキくんが困ったことに。
だって、いわゆる本家があって、
それに形が似ているからモドキくんなわけで。
この先、新種の命名においては、
モドキくんの出番はぐっと少なくなるかもしれません。

さて、サクラシメジモドキは、
もちろん、サクラシメジに似ているから、
モドキ、です、はい。

区別は、いたって簡単。
サクラシメジは、広葉樹林に発生しますが、
サクラシメジモドキは、針葉樹林に発生します。
写真に写っている大きな木は、アカエゾマツ。
阿寒を代表する針葉樹です。

サクラシメジも、モドキも、
発生するのは夏の終わりから秋にかけて。
桜色〜ワイン色の傘は、直径10cm前後。
中心へ近づくほど、色が濃くなっています。
柄もだいたい似たような色です。

そうそう、けっこう群生することが多く、
丸い輪を描くように連なって生える菌輪、
別名、フェアリーリングが見られることも、
しばしばあります。

食用ですが、けっこう苦味が!
茹でこぼして食べるといいと聞きますが、
う〜ん、相当濃い味付けにしないと、
きのこそのものの味は微妙かも……。

科学の発展とともに、果たして、
きのこの世界はどんな変貌を遂げるのでしょう?
まあ、きのこのかわいらしさとか、
美しさは、永遠に不滅ですけどね(笑)。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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