おしい!食べられるんです!
アミガサタケ
食
写真と文章/新井文彦

きのこの写真を撮るのも楽しいのですが、何より、
のんびりと、毎日、阿寒の森を散策できる喜び……。
これは、田舎生活ならではの醍醐味です。
のんべんだらりと東京で暮らしていた時とは、
話にならないくらい、充実した毎日。
二度三度は遭遇できそうもない貴重な自然のドラマや、
百「菌」繚乱、と言いたくなる多種多様のきのこが、
回転木馬のように目の前へ現われては消えるので、
記録しておくためにもカメラは手放せません。
念には念を入れて、最近では、カメラ3台体勢……。

いわゆる「フルサイズ」の映像素子を持ち、
3600万画素の高画質を誇るニコン D800から、
きのこ撮影メインカメラの座を奪いつつあるのが、
オリンパス OM-D E-M1という、
マイクロフォーサーズシステムのカメラです。
D800にくらべて、映像素子はかなり小さいし、
画素数も約1600万画素と半分以下なんですけど、
カメラもレンズも、とにかく、小型軽量。
感覚的にはD800の半分くらいです。

最近では、映像素子の大きさに関わらず、
どのカメラもそこそこ高画質・高性能なので、
通常の雑誌やWebで写真データを使う場合、
A3ノビくらいのサイズでプリントする場合なら、
OM-D E-M1の性能で、まったく問題なし。
だって、小さなきのこを撮影するのだから、
小さなカメラの方が使いやすいに決まってます。
おかげで、きのこの手前に穴を掘って、
カメラを埋めて撮影する頻度が減りました(笑)。

コンパクトデジタルカメラは、
小さくていいのですが、使い勝手がイマイチ。
ちなみに、ぼくは、
ソニー RX100を愛用していますが、
画質的には問題なく仕事で使えます。

おっと、いけない、いけない……。
きのこの話をせずに、カメラの話をしてた(笑)。
カメラや写真については、いずれ、別の機会に。

と、いうことで、ここから、ようやく、
今回の主役・アミガサタケの話に入ります。
きのこ好きな人たちにきのこシーズンの幕開け、
つまり、春の訪れを告げるきのこで、
阿寒では5月〜6月頃に発生します。

頭部はやや円錐的に尖った感じの卵形。
網目状に分かれた小区画が特徴的ですが、
この中で胞子がつくられます。

肉は薄くてもろく、高さは5〜12cmくらい。
外観的には頭部と柄に分かれたように見えますが、
ぱかっと縦に二つに割ってみると、
中はつながったひと続きの空間です。

モレルとかモリーユという言葉をご存知ですか?
そう、アミガサタケは、欧米では大人気の食菌。
生クリームやバターとの相性は抜群です。
基本的に、生食、アルコールとの同時接種は不可。
また、大量摂取も避けてください。

子実体の大きさや色、頭部区画や柄の形態で、
オオアミガサタケとか、チャアミガサタケとか、
いろいろ分類されてますが、
個体差があるので同定はけっこう困難です。

ちなみに、
アミガサタケは、中国語で、羊肚菌と言います。
白くて太い柄が羊のおなかに見えたのでしょうか。
きのこの命名にもお国柄があるかもしれませんね。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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