正解、食毒不明です。
ガンタケ 毒
写真と文章/新井文彦

さて、もうひとつ、問題です。
ガンタケを漢字で書くと次のどれでしょう?

1 岩茸
2 雁茸
3 癌茸







ポン

はい、答えをどうぞ!

正解は、2番の「雁茸」です。
ガンタケの色が雁の羽の色に似ている、
ということで名付けられたのだとか。
ふむ、確かに、全体的な模様の雰囲気も、
何となく、雁っぽいって言えば雁っぽい。

しかし、まあ、この写真のガンタケ、
大きなトドマツの根本のウロに生えている姿は、
なんか、ある種の神々しさすら感じますな。
田舎のお地蔵さんみたい……。
思わず手を合わせてしまったり(笑)。

雁が飛べば石亀も地団駄、
なんていうことわざがありますけど、その意味通り、
みだりに他の人をまねようとせず、
しっかりと身の程をわきまえていきたい、
と、ちょっとだけ思ったりもします。
でも、森から街へ戻れば、そんなことも忘れて、
煩悩のカタマリと化してしまうわけですが……。

さて。
ガンタケの姿を見て、
テングタケの仲間だと思った人、いますか?
はい、なかなかのきのこ通だとお見受けします。
淡い赤褐色の傘には、
テングタケの仲間の大きな特徴のひとつである、
イボがたくさん付いていますね。
写真には写っていませんが、
傘のすぐ下に白いツバもついています。

ガンタケと他のテングタケの仲間を見分けるための、
ポイントのひとつは、赤味を帯びているかどうか。
そして、さらに、傷をつけると赤褐色に変色するのも、
ガンタケならではの特徴です。

生でなければ食べられる(しかもそこそこ美味)、
と書いてある図鑑もあるのですが、
微量ではあるものの、
アマトキシンという、遅効性で解毒剤がない、
つまり、気づいたときには手遅れ!という、
猛毒の成分を含んでいるので、
加熱したとしても食べない方がよいかと。

また、やっかいなことに、
テングタケの仲間ってけっこう似ているんですよね。
間違えて猛毒の別のきのこを食べちゃう可能性も……。
ガンタケは、観賞きのことして推奨します。

思いがけない幸運が舞い込む、
というような意味の、
雁捕る罠に鶴、
なんてことわざもありますが、
きのこファンのひとりとしては、
ガンタケを見つけても、ツルタケを見つけても、
嬉しいことには変わりありません(笑)。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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