おしい!食べられるんです!
アマタケ 食
写真と文章/新井文彦

もちろん、きのこは、生物なので、
生育状況は、環境によってかなり違ってきます。
雨が多い年、少ない年、暑い年、寒い年……。
当たり前ですが、同じ森に長い間通っていると、
年によって、見られるきのこの種類や数が、
けっこう異なっているんですよね。

また、森の自然は、目に見えないものも含めて、
多くの生物や無生物がお互いに関わり合う、複雑系。
普通であれば無視できるような極めて小さな出来事が、
大きな出来事を引き起こす可能性だってあるわけです。
ブラジルで蝶が羽ばたいたら、
テキサスでトルネードを引き起こす!みたいな。

ですから、森を歩く時などは、
いろいろなものに敏感でありたい、と思います。
(もちろん、日常の生活においても)
そして、我々人間が普通に生活しているだけでも、
多かれ少なかれ、常に、自然環境に影響を与えている、
ということを、
心の片隅に、そっと置いておきたいと思います。

とはいえ、かわいいきのこを見つけると、つい、
他のものが見えなくなってしまうのが、現状。
まだまだ修行が足りません……。

さて、このアマタケ、地味なきのこですよね。
地味な色だし、地味な形だし、おまけに、小さいし。
一応、食べられるのですが、
それほどおいしいわけではないし、
それほど量が確保できるわけでもないので、
食用きのことしての魅力も乏しいかもしれません。
アマタケ、と言う名前がついてますが、食べても、
ほんのりとした甘みが感じられる程度だとか。

お湿りがなく、暑い日が続く、夏の盛り。
森全体がどことなくげんなりしているようで、
テングタケ系や、イグチ系などの、
いかにも、というきのこにあまりお目にかかれないとき、
アマタケをはじめ、同じ、葉っぱを分解するタイプの、
カブベニチャや、モリノカレバタケなど、
小さなきのこが林床にあることの、心強さ(笑)。
地味だけど、時期さえ合えば、
ほぼ確実に、顔を見せてくれますから。

きのこが無い、見つからない、というのは、
実は、自分の思惑に合わせたきのこが目に入らない、
というだけのことであって、森へ行けば、
どんな時でも、必ず、きのこはあるのです、はい。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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