ウラグロニガイグチ 毒
写真と文章/新井文彦

もうね、きのこは、訳が分からんのですよ(笑)。

のっけから、投げやりな言葉を吐いてますが、
実は、何を隠そう、今ぼくの手元にある、
6冊のきのこ図鑑のうちの5冊に、
ウラグロニガイグチは、食用で、
しかも、けっこうおいしい、と載ってます。

調べてみると、毒きのこ扱いされるようになったのは、
1999年に埼玉県で起きた食中毒事故以来のようです。
何でも、ウラグロニガイグチ入りのきのこ汁を食べた、
約100人中30人くらいが嘔吐したのだとか。

ところが、肝心の毒成分は、未だ不明!
個々の体質で胃腸系の中毒を起こす可能性があるのだとか。
実に、微妙な言い回しだなあ……。

阿寒の森では、8月から9月くらいにかけて、
ミズナラなど広葉樹が生えている森でよく見かけます。
チョコレートスイーツのような独特な色味がグッド!
傘の直径が10センチ以上にもなる大型のきのこなので、
触った感じも、また、よし、です。

ウラグロニガイグチ、ぼくは鍋で食べたのですが、
投入して煮込むと、鍋の中がみるみる真っ黒に!
ひえええ〜。
ちょっとだけ、ビビりつつ、口にすると……。
その黒っぽい成分は、旨みを含んでいると思われ、
見た目は良くないですが、味は良かったです。

そして、中毒症状もまったくなし。
つまり、体質的に、ぼくは、
ウラグロニガイグチを食べても大丈夫みたいです。

それはさておき、きのこは、基本的に、生食不可。
生で食べることを前提としてしまうと、
おそらく、多くのきのこが、毒扱いになっちゃいます。
あのマツタケだって、生で食べると、
お腹が痛くなったりしますからね。

食べた人によって、中毒したり、しなかったりと、
きのこの「毒」は、個体差、地域差などの他に、
個人の体質や体調にも密接に関わることを、
どうぞ、くれぐれも、お忘れなく。

まあ、きのこに限らず、どんな食材であろうが、
基本的な考え方は一緒なんですけどね(笑)。

とにかく、とにかく、
きのこを食べるときには、十分にご注意のほどを。
疑わしきは食せず、です!

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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