憲法にわくわく? 伊藤真さんの考え方は、目からウロコだった。
第2回 受験必勝法から生まれた目次
「ほぼ日」の木村さんが、
「この本、すごくオモシロイですね」と
おっしゃってくださり、
本について、もっとご紹介させていただける
ことになりました。
調子にのって、オモテ話・ウラ話を
お話しさせていただきますね。

今日は、この本の構成について。
この本の目次は

■第 I 部 
 明日は国民投票!その前に

■第 II 部 
 もっと知ろう、憲法のこと

■第 III 部
 自分の頭で考える「憲法改正」

という3部構成になっています。

第 I 部では、
どの憲法の教科書にも出てくるような
基本的なことを、解説しています。

……と言ってしまうと、大したことないように
思えるのですが、
憲法は、それだけで「憲法学」という
伝統ある、れっきとした学問分野ですので
初めて憲法に接する人にもわかりやすく、
かつ、大事なところをもらさず、
全体を見渡せるような形で解説するには
それなりのワザが要ります。

でも著者の伊藤さんは
20年近くも、ほとんど毎日、憲法のことを考え、
憲法について語ってきた方なので、
1時間バージョンから
30時間のフルバージョンまで
自由自在に語りわけることができる!

で、第 I 部では、3時間バージョン+αで
憲法入門を講義していただきました。

第 II 部では、憲法改正問題を扱っています。
「憲法改正」も、
ジャーナリスティックな一大ジャンルですが、
ここでも、大事な争点をピックアップして
全体を見渡せるように解説していただくとともに
伊藤さんご自身の考えも
はっきりと表明していただきました。

第 I 部と第 II 部、
ふつうだったらそれぞれで1冊の本になる話を
欲張って1冊の本におさめて
「まずこれだけ読んでおけば大丈夫!」
というふうにした構成自体が、
この本の大きな特長です。

もっと特徴的、というより異色なのが
〔第 III 部 自分の頭で考える憲法改正〕
かもしれません。

本の冒頭には、
「憲法改正国民投票」の投票用紙を載せました。
(もちろん、架空の投票用紙です)

伊藤さんは、基本的に、
「いまの憲法を変えるべきではない」
という立場の方です。
このような考えの方が、国民投票について
正面から論ずるのは、実はちょっと冒険なんです。
というのは、国民投票は、
憲法改正案が国会を通過した後の最終手続きなので
これまでは
「憲法改正に反対するならば、そもそも
 国民投票なんていうものを認めちゃイカン」
という暗黙の了解があったから。

でも、そこをあえてこのような構成にしようと
思ったきっかけは、
伊藤メソッドと呼ばれる、
伊藤さんの司法試験の受験指導法にあります。

伊藤さんの主宰する予備校では
「あなたは、合格後にどんな法律家になりたい
ですか?」ということをいろいろな形で問いかけて
受験生を勉強へ動機づけています。
そして、実際の勉強法についても
「試験の前日に、1日で目を通して安心できる
 ノートやテキストができていることが大事。
 そのためには、1週間前、1カ月前、1年前に
 何をすればいいのか、から考えることが大事」
とアドバイスしています。
いわゆる、ゴールからの発想、ですね。

この伊藤メソッドを憲法問題に応用すると、
ふだん憲法に関心のない人たちにも
「自分たちに、すごく関係のあることなんだ」
と実感してもらい、本を読み進めてもらうためには、
Xデー、すなわち
「明日が国民投票だったら、どうしますか?」
から話を始めるしかない!
という答えが出てきます。
(ちょっと強引?)

憲法の本としては異色な第 III 部は
こんなふうにして生まれました。

オモテ話・ウラ話といいながら、
すっかりウラ話ばかりになってしまいました。
次回からは、本の内容について
もうちょっとオモテ話もしていきたいと
思います。
ひきつづきお読みいただけると嬉しいです。
2005-07-15-FRI
 
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