カワイイもの好きな人々。
(ただし、おじさんの部)

第1回
動眼はカワイイ。
 

「蚊を、蚊を取ることしかできないから‥‥」

“動眼(どうがん)”というものがあります。
って、いきなりじゃ、なんだかわかりませんよね。
ぬいぐるみにつける目玉といえば、わかりますでしょうか。
透明なセルロイドのドームのなかに、
黒目がころがっているヤツ。
動く眼、ということで動眼。
手芸屋さんに行くと、いっぱい売ってます。
大小様々、黒目、赤目‥‥。
ずいぶん前から手芸屋さんに行っては、
これをいくつも買い求めていました。
40男の行動としては、すでに異様です。

あ、申し遅れました。
ほぼにちわ、はじめまして。山下哲といいます。
妻子持ちの41歳。まごうかたなき、おっさんです。
本業は脚本家です。

ことしの秋口に書籍を出版しました。
それが、なぜか、マグカップの本。
「ほぼ日」でも紹介していただいた
『ファイヤーキング マグ図鑑』(河出書房新社)。
生活雑貨のカワイイ単行本です。
この本の著者となった僕は、しみじみ思いました。

「ああ、僕は結局、要するに、カワイイものを
 創ったり扱ったりしていきたいのだなあ」と。

ですから、きょうから始めさせていただくこのコンテンツ、
テーマは「カワイイ」です。
いろいろな「カワイイ」を探しに出かけます。
その第1回目として、僕の
「動眼」をご紹介しようというわけです。



で、この動眼をどうするかというと、
貼るんです。
身の回りのモノに。
携帯電話、冷蔵庫、掃除機、電気スタンドなどなど。
最初に紹介した画像は、蚊取り用具に貼りました。

はい、ゴミ箱に動眼。


「へえ〜、それ捨てるんだあ」

要するに擬人化なのですが、
貼るモノによっては愛着が増したり、
ぞんざいに扱っていたモノが急に気になりだしたりして、
なんだか愉快でずっと続けています。
一種のクセですね。
もう何を見ても「コレに目玉つけたらどうだろ?」と
考えてしまうようになっています。
ただし貼りかたにはコツがありまして、
基本的には、そう、かわいくならなければなりません。
いじらしくなったり馬鹿っぽくならないとダメなんです。
あと、もともと注目されるモノや、
いろんなことができすぎちゃうモノに
動眼はどうやら似合わない様子。
テレビ、時計、パソコンなんかはイマイチなんですね。
ひとつのことしかできないモノとか、
ひっそり置いてあるモノが、貼りどころ。

‥‥ええと。          
あらためて、自分で読み返してみまして、
バカだなー、と。
しかしバカは休み休みではいけません。
せっかくですから、
どうせですから、
調子に乗って、
さらに何点かお見せいたしましょう。


リモコンに動眼。


「ぼちぼちポケモンの時間だよ」

鉛筆削り。


「あ、あかん、また芯折ってもうた」

ロモ(カメラ)にも。


「屈辱、デジカメに撮られた‥‥」

ケータイにも。


「しっかし、誰からも連絡ないねー」

i-modeの“i”がちょうど鼻になったので、
とくべつに口もつけてあげました。
あんまり好きじゃなかったケータイ電話というものが、
これで少し好きになれたっけ。

‥‥‥‥うーん。
なんなんでしょうかねえ、これらの行為は。
ファッション? ちがうなあ。
インテリア? そんな大層なもんでもない。
そもそもなんでこんなことするんだろ?
‥‥ま、分析っぽいことは、いいや。
かわいいと思うんだからしょうがない。
単なるクセ。
40男の奇癖です。


個人の習性ですから、
「みなさんも動眼いかがですか?」と
オススメするのは、少しヘンかもしれませんね。
でも、やろうと思えば簡単にできることでは、あります。
「ちょっとオレも貼ってみるか」という酔狂な方が
いらっしゃるかもしれないので、
一応、軽くご案内しときますね。
動眼は、手芸屋さんで普通に売っています。
大きさはいろいろ。
僕が持ってるのは、直径3ミリ〜3センチくらい。
30センチとか、もっとデカいのがあればいいのに
と思うのですが、残念ながらそれはないみたいです。
色も何色かありますが、基本は黒目。
お値段は、安いですよ。
ひとふくろ、100円程度。
目玉の大きさによって、
ひとふくろに入っている数が異なるのです。
(大きい目玉は少なくて、ちっこい目玉はいっぱい)
それと、動眼の裏はシールにはなってないので、
ボンドとか両面テープなどで貼らなくちゃなりません。
これ、ちょっと面倒なんだよなあ。
シールタイプのがあればいいのに。ぶつぶつ‥‥。
さてさて、
40男のこの動眼癖、たぶん誰にも
(おそらくは妻にも子どもにも)
迷惑はかけてないと思うので、
しばらくは勝手に続けてみようと思います。
目についたモノに、かたっぱしからペタペタと。
だからね、
ストックだけは、
常に欠かさないようにしてるんです。

ほおら。





かがでした?
第2回以降は、僕がどこかのおっさんから、 
本人が「カワイイ」と思い込んでいる面白い何かを 
引っぱり出してきます。 
(簡単じゃないとは思いますが)
とんでもない「カワイイ」に出会える予感、
今は大アリなんですけど、どうでしょう?
断られたり、するのかな。
「カワイイ」ということばを前に、
むずかる人、いるかもしれませんよねえ。
ま、そんときはそんとき。
ともかく、四の五のいわず、やってみるです。
気負わず、それでいながら積極果敢に!
人見知りな僕ですが、
くらいついてくるであります!
最初に会いに行くのは、誰にしようかなあ‥‥。
あ、そうだ、そうそう、あの人、かな。
ふふふふふ。 じゃ、行ってきまーす。
次回の報告を、お楽しみにー!


2003-12-10-WED

HOME
戻る