主婦と科学。
家庭科学総合研究所(カソウケン)ほぼ日出張所

研究レポート60
理系が苦手! というみなさんへ。 その3
教える人がキライだとその科目もキライになる?!


ほぼにちわ、カソウケンの研究員Aです。

さて、前々回からお送りしている
「理科嫌いになったきっかけは?」
というテーマの第3弾です。
今回は、これまた該当者が多いかもしれない?
「教える人がきっかけで嫌いになった」
というところからはじめてみましょう!

父親の超・超スパルタ教育で
すっかり勉強嫌いになりました。

(ししゃもさん)

弟が小学生の頃、父に算数を教えてもらっていて
短気な父はいつまでも要領を得ない弟に
イライラした挙げ句
「なんでこんなのもわかんないんだ!」
って頭にゲンコツを一発。
その光景を見て
「この人に質問するのはやめよう‥‥」と
思ったものでした。
もしかして弟はそれを機に
数学嫌いになったかも?
(真実は知りませんが彼は文系でした。父は理系)

(よんさん)

あああ、研究員Aも耳が痛い話です〜。
研究員Aも、年子の妹に勉強を教えていて
「なんでこんなのもわかんないの!」と怒り
妹を泣かせた前科があります。
そのせいか知りませんが妹は文系に‥‥。
身内だと思い入れも強いし、
ふがいない、って気持ちも生まれちゃうし
どーしても手厳しくなっちゃう。
愛情の裏返しではあるんですが(言い訳がましい)。
‥‥研究員Bや研究員Cに教えるときは
くれぐれも気をつけよう。肝に銘じよう。

物理は先生が最初の授業で
「わからない人には絶対にわからない科目なので、
 試験では何問か問題を教えるので、
 その部分だけ答えられれば単位はやる」
きっとわからないに違いない、と自分で決めつけたので
授業は聞いてません。教室にいただけ。

(まみぃさん)

だっだめだよ〜先生‥‥。
先生が先に諦めてどうするうううう!

この先生の例の通り
「教わる側のわからない」気持ちが「わからない」人が
モノを教えることはとても難しいんですよね。
「この人にはどんな形の梯子
 を用意してあげたらいいのか」
というのがわからないから。
これは、妹に対して「なんでわかんないの!」と怒った
研究員Aも同類なのであります。

もちろん「教わる側のわからない」に寄り添ってくれる
先生だっています!
大学の授業はあまり‥‥じゃなかった
ほとんど出席しなかったので
印象に残っている授業はないのですが
唯一と言っていいくらい思い出深い授業があります。
(あー他の先生に怒られそ〜)

それは、大学3年の時の「量子化学」という授業。
量子力学とか量子化学っちゅーもんは、
まーとにかく常人の常識からかけはなれたものなので
何がなんだかさっぱりわからないものだったんですね。
もともと出来のよろしくない研究員Aなんて
手も足も出ない状態でした。

でもその授業の担当だった教授は、初回に
「量子化学が難しいのはなぜか?」
という趣旨のプリントを配って、解説してくれたんです。
これは目からウロコでした! そして感激しました!

それまでの授業は
「わからないヤツがバカだ」とまではいわないけど
「わかって当然」という前提で
進んでいるものでしたから。
それを
「どうして理解しにくいか?」
「このポイントを抑えるとわかりやすい」
みたいなことを教えてくれたこの教授。
それ以降、単純な研究員Aは
量子化学に対する苦手意識がなくなりました。

「『わからない』気持ちをわかってくれた!」
ってだけで嬉しくなっちゃうもんなんですよね。
悩みを誰かに聞いてもらっただけで
その悩みが半分以上解決したようなもの‥‥は違う?
でも根っこは似ていると思うんだけど。

もちろん、研究員Aのこの体験のように
学校の先生がプラスの「きっかけ」となった報告も
寄せられています!
「文系だと思いこんでいた自分が
 理数系を好きになったきっかけは
 高校の物理の先生」
というご意見です。

騒いで授業妨害する生徒がいると、先生はその生徒に
チョークを投げました。
「今、私が彼にチョークを当てるために
何をしたかというと‥‥」
そのチョークを投げて標的(騒いでいた生徒)
に衝突するまでを物理的に解説しはじめたのです。

「なんだ。物理にもちゃんと
 動機と目的があるんじゃん。」

実際に自分で橋を架けたりロケットを宇宙へ飛ばしたり
するわけではないんですが、
実はこんな計算で身近な物事も
予測しできるだけ無駄なくスムーズに
実行できるようにしているんだということがわかると
理数系は結構楽しい学問になりました。

(てぃんくさん)

わーお、ファインマン先生のようだ!
研究員Aも物理が好きになったのは
大学時代に出会った「ファインマン物理学」
という教科書がきっかけでした!
(ファインマンが誰?ってことと
 そのときの話はこちら
ファインマンの教科書は、まさにこの先生のように
具体的な身近な例に引きつけて
物理の法則を紐解いてくれる教科書なんです!

プラスのきっかけになるのも学校の先生。
マイナスのきっかけになるのも学校の先生。
後者としては他にもこんな意見が。

アキバ系の、ロン毛にフケがたまったような小汚い先生!
先生を生理的に受けつけなかったので授業中は現実逃避。
あー、もう少しビジュアル的に普通の先生だったら。

(まみぃさん)

中・高と教えて貰った理数系の先生が
皆メガネで風紀にうるさいタイプでした。

(てぃんくさん)

ぶはははは‥‥いや失礼! 当の先生が聞いたら
なかなか厳しいものがあるご意見です。
でも、きっかけなんて意外とこんなものなんでしょうね。
逆に
「先生がステキだったから
 頑張って勉強するようになった」
という例もあるはずです。
(ええ、研究員Aにも覚えがありますです‥‥)

中・高 通して両教科とも先生が
なぜかクールな方が多かったので
いまいち、授業が楽しく感じられなかった
というのもあります。
ちょっぴり残念。

(mikieさん)

好みにもよるのでしょうが
研究員Aも「熱い」先生の方が
好き! です。
どうせなら「のせて」欲しいと思っちゃう。
もちろん、「テンション高すぎると引く」
って人もいるでしょうね、まさに相性。

とはいえ、テンション高かろーが低かろーが
あるモノに対する熱い想いのある人が
そのことを表現するということは最強なのだ!
と研究員Aは思います。

とにかく‥‥先生の及ぼす影響は大きいのだ。
間違いなく、生徒の人生に関わっている!
大変なお仕事です。
世の中の先生方にエールをおくりつつ
今日のテーマをおしまいにしたいと思います。


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 理系科目が苦手だった! という皆さま、
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 「『虚数』なんて気持ち悪くて受け入れがたかった」
 「公式を見ただけで虫唾が走る」
 「亀の甲(ベンゼン環)の見た目がどーにも苦手」
 などの理由もオッケーです。
 宛先はpostman@1101.comまで!
 お待ちしておりま〜す。



参考文献
理系白書 毎日新聞科学環境部 講談社
エエカゲンが面白い 森毅 ちくま文庫
天才柳沢教授の生活 11巻 山下和美 講談社

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2005-05-13
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