主婦と科学。
家庭科学総合研究所(カソウケン)ほぼ日出張所

研究レポートその3
花粉症続報。〜ほぼ日読者研究員の報告より〜


ほぼにちは、カソウケンの研究員Aです。

前回のレポートの初めにお伝えした通り、
ほぼ日読者のみなさまに
「共同研究者」になっていただきたい!
ということで、寄せられた報告をもとに
「花粉症レポート続報」
をお伝えしたいと思います。

まずは、「アレルギーに寄生虫が効いた」という
ずばりの貴重な体験談の報告例です。
私の友達が、カイチュウをお腹で養っていました。
今は、虫下しを飲んで駆除してしまいましたが、
カイチュウがいたと思われる間、
確かに鼻炎が楽だったそうです。
友達から聞いた一部始終を、「21世紀療法」という題で
私のホームページに書いています。
http://www.ne.jp/asahi/teori/suzume/4-go.htm
(「すずめ4号」研究員)

上記の「すずめ4号」研究員のホームページにGO!
ご友人には失礼ですが、笑わせて頂きました。
なるほど、「無農薬野菜を生で食べる」のは
寄生虫くんを飼いやすい行為なんですね。
花粉症を治したい方は無農薬野菜のサラダを
お試しになると良いかも?

いっぽうでこんなご意見も頂きました。
花粉症に寄生虫が効く、というの、
一時期まことしやかに言われていましたが、
いまはまあそれはどうもウソっぽいね、
という説が一般的なように思います。
(「TACHIMOTO」研究員)

ご指摘ありがとうございます〜。
というわけで研究員Aも調べてみました。
2002年11月に開催された
第52回アレルギー学会総会シンポジウム(pdfファイル)
によると

・寄生虫感染とアレルギー疾患の関係について
 明確な結論は得られていない。
・寄生虫感染がアレルギー疾患を助長するとする
 「悪化説」も示されている。
・「ギョウ虫感染→アレルギーを抑制」ではなく
 「アレルギー性疾患→ギョウ虫感染が減少」
 ではないかと示唆する研究者もいる。

というところのようです。
どうやら、
「寄生虫感染とアレルギーにはナニか関係はありそうだけど
どう関係しているかはわかっていない」
ってところが実情のようです。

このあたりの詳しい事情をご存じの方いらっしゃったら
研究報告お待ちしております!

そして、「やまみ」研究員からのこんなユニークな報告です。

「顔などにホクロの目立つ人は
花粉症になりにくい」
らしいのです!

ちょっとマユツバ? と思ったら、
これは日本免疫学会で発表されたとのこと。
発表したのは
「化学技術振興事業団の技術参事ら」。

ちなみに私も主人も顔にホクロがあります。
で、花粉症ではありません。
おおっ? やっぱりそうなのかー?

でも、とにかく最初にそれに気付いた人は誰?
というところが、ヒジョーに気になります。
(やまみ)

カソウケン好みの「奇説・珍説」、ありがとうございました!
「奇説・珍説」なんて研究していらっしゃる方に
失礼極まりないですね。
ちなみに、花粉症ではない研究員Aも口元にホクロあり。

京都新聞の記事にも
この「ホクロと花粉症」の研究の紹介がありました。

ただ、この記事の
美男美女が花粉症などアレルギーになりやすい傾向と符合する

の一文。
花粉症ではない研究員Aは思わず「ぴきぴきっ」と反応。。。
でもでも、所長は花粉症だけど別に「美男」じゃないし、
と自分で自分を慰めてみるのでした。
(まあ、所長は研究員Aの主観ではいい男だと思うけど、
とフォロー入れときましょ)。

でも、この「美男美女」説。
動物行動学の「パラサイト(寄生者)仮説」を連想させます。
パラサイト仮説とは、
寄生虫等に感染している個体はルックスが悪くなる
(ニワトリのトサカや羽根が美しくなくなる)

ルックスの良い個体は寄生虫などに強いことの証明

異性はそのような強い遺伝子を欲するので、モテる

という仮説です。

しかも、竹内久美子女史によると
人間にもこのパラサイト仮説があてはまるとか。

男性の場合は足が長いこと
女性の場合はウェストが細く、色が白いこと

だそうです。
このようなルックスは寄生虫に強いことの証明だから、
異性に人気が出ることになるらしいのです。
詳しくは竹内女史の著作をお読み下さいませ。

寄生虫がアレルギー症状を抑える関係があるとするならば、
寄生虫と相性の悪いアレルギー体質の人は
「モテる美男美女」?
うーん、ここまでくると勝手な推測でしかないですけどね。
どっちにしろ、研究員Aにとっては
面白くない話であることには変わりありません。ふんっ!

気にせずに先に進みましょう。
5歳と2歳のお子さんをお持ちの
「さとみ」研究員からのご報告です。
家族そろってアレルギー知らずという羨ましいご一家です。
娘は、指吸いの癖があるのですが、砂場で遊んで
じゃりじゃりの指をちゅーちゅー。
息子は、2歳くらいまで、そこら辺に落ちている物を
何でも口に入れていました。
「そんなもん、死なへん」が口癖の私…。
(「さとみ」研究員)


うちの研究員Bも、2歳過ぎになった今でも
公園に行くと砂・小枝・石、、、
ありとあらゆるものを口に入れます。
研究員Aがやめさせると、負け惜しみのように
「おいすい(美味しい)」と言う彼。はああ。

でも、こんな行為もアレルギーに強い体を
作るという話があります。
つい先日放送された「ためしてガッテン」の
「アレルギー総力対策(1)」
では
「適度に非衛生的な環境」で子供を育てることが必要です。
土など自然に触れさせる機会を増やしたり、
ペットを飼うのも一つの手です。

とありました。
いうわけで、ちょっとくらい土や石を口に入れても
悪いことじゃなさそう。
ふむ、「適度に非衛生な環境」だったら
当カソウケンは合格点でしょう。
「我が家は「過度」に非衛生じゃないのか」
という横やりが所長から入りそうですが。

実は、最近の研究結果でこれまでの私たちの感覚を覆す
面白いものがあるのです。

「農場で育てられた子はアレルギーになりにくい
幼いときにいろいろな細菌と接触すれば免疫力がアップ」

(2002年8月 チューリッヒ大学
 Roger Laueneら The LANCET)

「乳児期にペットを複数飼うとアレルギーになりにくい」
(2002年8月 ジョージア医科大学 Dennis R. Ownbyら
Journal of American Medical Association)


という説があるのです。
「超清潔志向」がアレルギー疾患を増加させたという
藤田紘一郎先生の説と重なるものがありますよね。

小さいお子さんのアレルギー疾患は
世のお父さんお母さんにとって切実な問題。
日々、衣食住にわたって細心の注意を
払わなければならないのです。
一日でも早くアレルギー全般のフクザツなメカニズムが
明らかになって欲しいものです。

他にもご紹介しきれませんでしたが、
ユニークな研究報告を頂きました。
本当にありがとうございます。
カソウケン所員一同、お礼を申し上げます、そして
これからも頼りにしております〜
「ほぼ日」研究者のみなさま!



参考文献
「小さな悪魔の背中の窪み」 竹内久美子著 新潮文庫

2003-05-02-FRI


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