高阪 一番基本で根本的に大事だなっていうふうに
今、思っているのは、股関節と肩甲骨なんです。
これをしっかり意識して
動かしてあげることができるようにっていうのが、
まずメインであるんですよ。
花柳

股関節って、僕らも、
‥‥僕なんか体固いほうなんですけれども、
股関節だけは柔らかいんですよ。
何でか分かんないんですけど、股関節、
普段からも大切なんですかね。

高阪 そうですね、股関節は一番大事だと思います。
花柳 そうなんですね。
高阪 はい。輔蔵さんの動きとか見てても、
股関節が柔らかいというか、
使い方を知ってるので、
柔らかく動けるんだと思うんですよ。
たとえば足を開くとき、
股関節を回してるから、
体をねじることなく、
外に開いてるんですよ。
股関節の向きを動かすことで
体の向きを変えて行く。

花柳 大学から始めた弟子とかは、
それができないんです。
ちょっとの違いなんですが、
できない人は多いですね。
高阪 一般的にも、股関節が固い人っていうのは
ほんとに多くて。
花柳 あ、そうなんですか。
高阪 実は今、「ほぼ日」の乗組員さんたちと、
股関節を含めた運動とかをやってるんですよ、
週に一回。
大まかに分けると2パターンあって、
元々体が柔らかいっていう方と、
使い方さえ分かれば柔らかくなるという人。
どっちにしても、固いまんまっていうことは
まずあり得ないっていうのが自分の考えなんです。
動かし方とかを知ってやってるうちに
どんどん柔らかくなっていったりとか、
動きのメカニズムっていうんですか、
そういうのがしっかり分かるようになれば、
そんなに体が固いとか、
ちょっと動いて体が疲れるってことは
なくなっていくと思うんですね。
花柳 はい、そうですね。
高阪

自分たちが、たとえばトレーニングでするのは、
股関節を折るっていうんですけど、
こういうふうにお尻を後ろに突き出すように
こうやるんですね。
背中が水平ぐらいになるまで折って、
元に戻るようにする。
すると股関節が動いてるわけなんです、

花柳 ああ、はい、あー、なるほど。
高阪

これが股関節の動かし方を知らないと、
こうなるんですよね。背中が。

高阪 これ、一番最初に覚えるようにしてる
動かし方なんです。
花柳 取り入れます。
股関節がうまく使えない子に。はい。
高阪 で、この股関節を動かした後には肩甲骨を。
肩を回すんですが、
回したときに肩甲骨と肩甲骨をくっつける感じに。
花柳 あ、同じことですね。
女形のとき肩甲骨をつけて
後ろに乗って歩くっていうのと。
高阪 そうなんです。
肩甲骨っていうのはすごく大事ですよね。
動作に関わって来ることだと思うんです。
肩甲骨が浮いたままとか、
肩が上がったまんまでは動作がとりにくい。
だから肩甲骨も自然と動くように
稽古をしなきゃいけないと思うんですよね。
花柳 「後ろに乗って、後ろに乗って」って
昔、ほんとにすごく言われました。

高阪 はい、そうなんですよね。
花柳 今、背中がちがちの肩の人が多くて、
肩甲骨を付けて後ろに乗っけてくださいって、
できないんですよね。固過ぎて。
固いと始まらないので、マッサージしてあげて、
肩、上下にしてとか、
こうやってこう動かそうとか、
そういう体操から僕もやってるんです。
そうじゃないともう何も始まらないんですよ。
高阪 そうですよね。今、ほんとに、
何も普通に生活されてる方っていうのは、
必要以上に動かさなくても済んでしまうので、
やっぱり動かさないとこって退化しちゃいますから、
だから動かせなかったり
固かったりするんじゃないかと思うんですね。
そういうところをしっかり動かしてあげたりとか、
使い方を分かるようにする、
何か簡単な体操を作っていこうと思ってるんです。

花柳 それをやってから日舞の稽古に入ると
いいかもしれないです。
高阪 技じゃなくて、技の前の段階の
自分の体を知るっていうのが、
すごく大事になってくる。
その部分てのは、輔蔵さんはもう
稽古の中で覚えて来られたと思うんですけど、
どうですかね、素人の方とかで稽古をやって、
もう私には向いてないからとかって
辞めていっちゃう方とか、
いらっしゃいませんか。
花柳 そうですね、やっぱりいらっしゃいますね。
役者を目指して来る人は
その志があるからやめていかないんですけども、
趣味で始められた方っていうのは
ヒップホップやるよりもバレエやるよりも、
まあ、日本舞踊の方が手っ取り早いんじゃないかなと
思ってやってみたら、
驚いちゃったみたいなことで
辞めていかれる方はありますね。はい。
高阪 そこなんですね。結局、そこで
自分が持ってる体をうまく使える
やり方っていうのさえ分かれば
何でも応用ができると思うんです。
だからそういうことをまず最初に
やってあげるようにすれば、
少なくともやめられる方、いなくなるんじゃ(笑)。
花柳 (笑)ですね。
  (つづきます!)
   
    2007-12-31-MON    
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