- 清水
- これ社長室なの?
- 糸井
- うん。でも、ほとんどミーティングルームだね。
- 清水
-
いいね、重厚感がなくて。
風通しよさそう。
(部屋のぬいぐるみを見つけて)
あれ、「おれ、ゴリラ」じゃないですか。
私も持ってた。
※「おれ、ゴリラ」とは
明治チョコレートを買うと抽選でもらえたゴリラのぬいぐるみ。
2016年に復刻版のキャンペーンが実施されました。
- 糸井
-
かわいがってもらってた石坂浩二さんの家に
行ったときにもらったの。
ぬいぐるみは、なんか好きでさ。
- 清水
-
へぇー。
意外とメルヘンっぽいとこありますもんね、糸井さん。
女の子っぽいというか(笑)。
- 糸井
-
女の子っぽいと言われてることを、
男もしちゃいけないのかな?って思う。
- 清水
-
今の風潮だ。
こんな感じのスペースで暮らす
シェアハウスってあるじゃないですか。
糸井さん、できそうですよね。
- 糸井
-
今ではできるかもしれないけど、
昔はできる人に対して偏見を持ってたね。
「できちゃダメだ」って(笑)。
俺、男子高出身だもん。
- 清水
-
やっぱり関係する?
10代の3年間って。
- 糸井
-
うん、するよ。
女の人はなんというか、神様だもん。
- 清水
- 憧れなんだ。
- 糸井
-
これすごいな。
逆に俺、インタビューされてるじゃない(笑)。
- 清水
-
でも知りたい(笑)
私、もともと聞きたいこといっぱいあったの。
いつも仕事でちゃんと話せずに流れちゃうから。
- 糸井
-
うんうん。
考えてみれば、俺、清水さんのステージを見てる歴が
ものすごい長いね。
- 清水
- うん。
- 糸井
- ぼくもね、清水さんについては、聞いてみたかったのよ。
- 清水
- うんうん。
- 糸井
-
実は、「今までどうだったの?」ってことは、
あんまり話してこなかったんだよね。
しょうもないことは言っても、そういう話はしてなかったから。
- 清水
- わかる。
- 糸井
- 中学生や高校生の頃は、どんな子だったんですか。
- 清水
-
いい子でもなく悪い子でもなく、パッとしないような子だった。
高校のときには、糸井さんの「ヘンタイよいこ新聞」
を読んだり、『オールナイトニッポン』を聞いたりとかして。
- 糸井
- そこから、パッとしていったわけ?
- 清水
-
自分の中ではね。
でも、友達がみんな恋愛してるなかで、
「ビックリハウスに投稿が載った!」とか
「ラジオで投稿が読まれた!」とか、
自分だけちょっと違う感じだった。
※『ビックリハウス』とは
1974年から1985年まで発行された日本のサブカルチャー雑誌。糸井重里主宰の人気投稿コーナー「ヘンタイよいこ新聞」が連載されていました。
- 糸井
-
投稿がラジオで読まれたり、「ビックリハウス」に載るのって、
けっこう難しいことだよね。
- 清水
- そうかな。
- 糸井
-
うん。俺は載る自信ないよ。
でも、清水さんは、それができちゃったわけでしょう?
- 清水
-
そんなことばっかり考えてたからね。
青春時代ずっと(笑)。
- 糸井
- ハガキ職人ですよね、いわば。
- 清水
-
そうそう。
ハガキ職人ってけっこう幸せっていうか、夢ありましたよね。
- 糸井
-
そうだよね。
俺は、そういうお笑いはできないんだよ。
ちっともおもしろくないの、自分が。
- 清水
-
自分で言った(笑)。
きっとあるんでしょうね、向き不向きの個性が。
- 糸井
- 清水さんのお笑いのおもしろさの正体は、何なの?
- 清水
-
見たり聞いたことを「こう感じました」って
自分なりに提出すると、何かおかしいんだろうね。
- 糸井
-
ああ、そうだ。
清水さんに会う前に考えてて、発見したのが、
清水さんは『私はこう感じてます』をしてるんだ、
ってことだったの。
- 清水
-
本当?
当たってます(笑)。
- 糸井
- 批評してないんだよ、全然。
- 清水
- あ、うれしい。
- 糸井
-
いいとか悪いとか一つも言ってなくて。
ただ真似してる対象の人が、
「私にはこう見えて、こう感じられちゃいます」
っていうだけでしょう?
- 清水
-
さすが。
うん、そうかも。
- 糸井
-
たとえばある芸能人がいたとして、
「強気なことを言ってるなぁ」っていうのは
みんなが感じてることなんだ。
それを「私には、強気なことを言っているあなたが
すごく面白く、こう見えてるんですよ」っていう(笑)。
- 清水
- 「背中を押す」というかね(笑)。
- 糸井
-
そうするとお客さんが、
「そう見えてる、そう見えてる」って(笑)。
- 清水
-
「あるある」つって(笑)。
共感の人が多いでしょうね、お客さんは。
- 糸井
-
共感ですよね。
ツッコみ過ぎないし、立ち直れないようなことは
しないんだよね。
- 清水
- そうかも(笑)。
- 糸井
- 似顔絵とかも、同じじゃないですか。
- 清水
- ああ、本当だ。
- 糸井
-
「こう見えてますよ」って。
そこには尊敬が入ってる場合と、
そうでもない場合もある(笑)。
- 清水
-
おいし過ぎる場合がね(笑)
その人のこと強調せずに、
普通にやってもすごいウケることがあるの。
不思議ね、あれ。
- 糸井
-
しゃべりの癖を似せる、というのはわかるんだけど、
声の質が似るってすごいよね。
どうして声が似るんだろう?
- 清水
- ああ、どうしてだろう(笑)。
- 糸井
- 例えば、ユーミンと矢野顕子でも、声は全然似てないじゃん。
- 清水
-
うん、似てないですね。
本人と一緒に歌ったら、全然違うってわかると思います。
- 糸井
- ただ、清水さんが挟まると……。
- 清水
- それぞれ似てるって思うんですよね。
(つづきます)