ぼーっとしたミーハー通信。

「ほぼ日」創刊からいちども休まずに毎週連載されていた
『ぼーっとした女子高生通信』のゆーないとさんが、
大学生になってしまった時には、
『ぼーっとした青春』と改題しましたが、
学生を卒業したので、またまた改題いたしました。

人間には、ミーハー欲というものがあるような気もします。
大統領やら総理大臣でも、タレントと会ってる写真は、
完全にひとりのミーハーになってるもんねー。

いいのわるいのじゃなく、どうやらいつも
「ミーハーめがね」をかけてるらしいゆーないとさんが、
その視線で見える世界を、毎週報告してくれます。

怒った日。

今日も元気な3歳さん。
口もどんどん達者になって、おもしろいけど、
自我も強くなってらっしゃって・・・。
もともと、怒るようなことをあんまりしないので、
ほとんど怒らない3年間。
注意程度で、なんとかなっていた。
でも今回は、一番怒った。
と言っても、たいして怒ってはないけども。
理由はもう、いつものことなのです。
出かけるための着替えの話。
「はい、お出かけするから着替えようー。
こっちきてー。どれがいい?」
まず、「これを着なさい」というのは、
イヤイヤ期から断固拒否なので、
選択肢を見せて選ぶシステムを導入することが
多い我が家。
(ぜんぜん平気なときもあるんだけどね)

しかも、ここで機嫌を損ねると面倒なので、
ちょっと高めの声にして、たのしさを演出。

「どれにしよっかー?どれがいいかなーん?」
おどける母。
「えーっとねー。これ。
と、これとこれとこれ!」
「おいおい、ぜんぶかい」
「キャハハハハ」

たのしそうでなによりですけども、
このやりとりを3〜5回くらい繰り返すんですねー。
決めないの。
「どれかに決めないと、出かけられないよ」
「やだ!このぱじゃまがいいのぉ!」
着ているボロボロのパジャマで出かけたい
という主張。
このあたりから、雲行きがあやしくなってくる。
「だめ、それは寝てる時に着てた
パジャマでしょう。
先生にもパジャマから着替えて来てねって
言われてるじゃない。だから、着替えよう。
新しいほうが気持ちいいから」
色々言ってみるけど、「やだ」の一点張り。
このモードに入ると、もう大変。
こちらが折れてパジャマで出かけるか、
どうするか。
たまに、父がぜんぜんちがう角度で
いざなってくれて、うまくいくこともあれば、
「おとうさん、あっちいってよ!」
とか言うときもあり、
すべてが賭けみたいなもんで。
こうやって文字にすると、
気、つかってるなー・・・ハレモノちゃん。
ヒヤヒヤですよ。

もうその日は全然ダメで。
でも、そのわがままを通したらまずいぞ
という予感もあり、こっちも色々持ってきたり、
提案するんだけど、なかなかうまく折り合いがつかず。
「いい加減にしなさい!
そんなにわがままばっかり言ってたら、
どこにも出かけられないよ!なんたらかんたら〜」
いつもとちがう、こわい顔をして、
じーっと目を見て怒り、一度目の前から去ってみた。
たった20秒くらいとかの短い時間だけど、
わたしたちにはもっと長く感じた
短い時間が過ぎて戻ると、
さっき座ってたイスの上で、
涙目になって、じーっと座っている。
今までなら、
「やだー!」
とか言いながらワンワンと泣いていたのに、
その日はじーっとこらえていた。
悔しそうな表情にも見えたし、
どうしていいかわかんないという感じにも見えた。
この先、わたしは何度もこの表情を見て、
心を痛めたり、心の底から腹を立てたり
するんだろうなーとか考えてしまった。
「怒ってごめんね。仲直りしよう」
と言ったら、
「うん」
と小さくうなずいた。
ギューっとしてから、
「ねぇ、ほかの服を選びに行く?」
と聞いたら、うるうるした目で
「うん」
と小さく答えた。

洋服の引き出しの奥から、
わたしが1年くらい前に買ってきた、
キャラクターものとかじゃない、
着てほしいタイプのかわいい服が出てきた。
今まで何度も提案してはその度に却下されて、
このまま一度も着ないで誰かにあげることに
なるのかしら・・・と悲しく思っていた。
ことさえわたしも忘れていた
奥の方にしまわれた、ワンピースが目に入った。
「これはどう?」
「いいねぇ!」
目をうるうるさせながら、ニコーッと笑った。

あぁ、やっと終わった。
なかなかドキドキハラハラ、
スリリングな時間であった。
あの目に涙を浮かべつつも、
流してないこらえた表情は、脳に焼きついたなー。
その後は、お互いご機嫌に過ごせて、
いい1日になった。

夜になって、
「ママちゃん、やだっていって
おこったんだよねー」
みたいなことを、ふいに話し始めた。
なかったことにしたのかなーと思っていたら、
しっかりと刻まれていた。
まだこの世に生まれてから
1200日も経ってない小さなからだに、刻まれてしまった。
こういうことをたくさん乗り越えて、
お互い成長していくのだろう。
まだまだ先は長いよ。よろしくね。


▲その日、保育園で作った手作りタコで
たくさん遊んだ。


▲また別の日。公園で、腰にリボンを巻きつけ
「エルサ」と言いながら、大きな声で歌っていた。

さあー、今週もいろいろがんばりましょ!
寒いのかなー。

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