ザ・グレート・フリー 自由業、着地点は不明です。


第2回 部活にお金をくれる人、あらわる。

── では、読者のみなさんから
たくさん質問が届いているので、
さっそくお答えいただきたいと思います。

グレート・フリーのみなさんが
この職業を選んだきっかけは何ですか。
(ちょこちょこ)
自分のですか。
── はい。
板尾 正直、何でしょう、
特にやりたいことがなかったんですよ。
べつに特に、いまの感じを
めざしてたわけでもなく。

── いまの感じ。
板尾 ええ。僕の場合は、
吉本に入るという動きがそれなんですけど、
特にやりたいこともなく、
なんか「いける」かな? みたいに思って。
それがきっかけです。
めずらしいですね、
芸人さんになった人の入口としては。
板尾 まあ、大阪の人間なんで
吉本の芸人さんとか吉本新喜劇とか
漫才とか、メチャメチャ好きでしたけど、
でも、ずっと小さい頃から
なりたかったわけでもありませんでした。
受け身じゃなくて、自分からこの世界へ
来たことは来たんですけど、
まあ、なんとなしに、なんです。
あまり計算もなく、ビジョンもなく、
吉本入って何すんねん、というのもあまりなく、
すごくいいかげんに入ってるんです。
── それでいま、このお仕事をなさって
何年ぐらいになりますか?
板尾 22年かな?
── では就職は、なさらずに?
板尾 僕、高校のとき
就職が決まっていたんですけど、
入社式に行かなかったんです。
一同 (笑)
どこに決まってたんですか。
板尾 食品会社です。
営業とかそういう感じで?
板尾 いや、何をするかサッパリ僕は。

一同 (笑)
板尾 高校の出席日数がギリギリだったんで
卒業するのに、とりあえず
就職せなあかんかったんです。
浜野 というと‥‥?
板尾 就職決まったら卒業できるやろと思って。
学校も、合格した人を卒業させないわけに
いかないじゃないですか、なんとなく。
なるほど。
で、もう卒業したんで
会社に行く理由もない
ってことで。
板尾 そうです。
いまから思うと、悪いことしたなと思います。
── 瀧さんが、この職業に
就かれた理由は?
えーっと、僕は‥‥
きっかけも「なりたい」も
別になかったんですよ。

── みなさんそうですか(笑)。
インディーズブームとかがあって
インディーズバンドもやったりしましたけど、
いまの「電気グルーヴ」ってのをはじめて、
別にプロになる気も──僕は、ですけど、
全然なかった。
部活と言ったら変ですけど、
暴走族と言ったら変ですけど(笑)、
そんな感じで、昼間バイトして、
夜に、同い年の、卓球
(註:石野卓球さん 電気グルーヴメンバー)
とかですけどね、つるんで遊んだりしてて、
じゃバンドだ!って。
そんなノリで、はしゃいでやっていたら、
スカウト‥‥
── スカウトなんですか!
板尾 スカウトなんですか!
はい。レコード会社の人が
「プロでやんない?」つって。
板尾 すごいなあ。
浜野 スカウトの人がライブに来たんですか?
同じライブに出てた、
ほかのバンドを見に来たらしくて、
うちらはその日のステージのいちばん最初で、
めあてのバンドはトリだったの。
うちらを見て「あいつら何だ!」って話になり、
新宿のすし屋に呼ばれて‥‥

浜野 すし屋‥‥すげえ、なんか、ありそうな(笑)。
「どのぐらいやってんの?」
とか
「曲は何曲あるの?」
みたいなことを聞かれました。
たしか、まだ電気グルーヴになって
3回目ぐらいのライブだったので、
ライブで演奏した曲が
僕らの曲のほぼ全部だったんです。だけど、
「曲はまあ、形になってないのを入れたら
 4〜50はあるかな!」
「ライブはもう、だいぶやってますね!」
と、昔やってた「人生」ってバンドの頃のことも
勝手に経験にカウントして言ったりしてたら
「ふーん」みたいなことになって、
「ちょっとやってみる? プロで」
── すごい。
じゃあまあ、そうしようかな、って。
部活やっててお金くれるんだったら、
そっちのほうが
いいじゃないですか。
板尾 そうですね。
別に断る理由はないです。
プロになるという意識でもなく、
楽しいことをしていたら、
お金くれる人がいる。
だったら、「じゃ、やっとく?」みたいな感じで。
板尾 そりゃあそうや。
── スカウトされたのは、何歳ぐらいのときですか。
22歳のときですから、もう18年前ですね。

(明日につづきます!)

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2007-05-03-THU

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