1位
●●●●●●●●●●●●
47.3%
2位
ユーザーとして、
製品もしくはサービスに好感が持てるから 
33.2%
3位
新しいことに挑戦をさせてもらえそうだから
25.6%
4位
高い技術力を持っているから
23.8%
5位
将来性があると思うから
17.0%





第5回 はたらく理由は、ひとつじゃない。

糸井 ランキングを眺めながら、
それぞれ、いろいろ勝手なことを
言ってきましたけど‥‥。
山中 はい(笑)。
糸井 そもそもの話をしていいですか?
柳瀬 ええ、どうぞ。
糸井 あっちの会社は、はたらきやすそうだ。
そっちの会社は、魅力的なものをつくってる。

でも、こっちの会社のほうが給料高そうだ‥‥とかって、
今回の結果を見て、
みなさん、いろいろ思うんでしょうけれど、
けっきょく、
「企業と学生がえらびあう」というのが
就職というものの基本的な考えかただよな、って。
柳瀬 まったく、そのとおりですよね。
糸井 ランキング見ながら、思ったんですよ。

で、それって、ほかに似たようなものを
挙げるとすれば「お見合い」なんです。
山中 うん、うん。
糸井 ただし、お見合いの場合には
「世界中の女性全員と会わなきゃ、
 相手を決められない!」‥‥なんて
ムチャなこと言うやつは、いないですよね。
山中 物理的に無理です(笑)。
糸井 でも、こと「就職のはなし」になった場合、
みんな、そう思い込んじゃってない?
山中 そのきらいはありますよね。
柳瀬 「オレ‥‥もっといい会社に
 出会ってないだけかも‥‥」なんて。
糸井 結婚の場合だったら、たまたま出会ったこの人が
けっきょく生涯のパートナーだった、
なんてことのほうが多いわけじゃないですか。
山中 ええ、ええ。
糸井 だから「就職」のケースで言っても
たまたま、内定者としてえらばれた会社が、
じつは、自分でも「えらんだ会社」なんだって
思うことが必要なんじゃないかなぁ。
柳瀬 うん、何人もの志望者のなかから
内定をもらったんだったら、
たとえ第一志望の会社でなかったとしても、
それって、えらびあってますよ。
糸井 むしろ、それが「はたらく」ということの
すごくリアルな姿でしょう。
山中 だから、第一志望じゃないけれど、
内定をもらった会社ではたらくっていうことは
ぜんぜん悪いことじゃない。
糸井 やっぱり仕事って
「やってみたら、おもしろかった」の
連続じゃないですか。
柳瀬 学生さんには、実感としてわかりにくいと思うけど
ほんとにそのとおりなんですよね。
糸井 それにさ‥‥大部分の人たちは
この「人気上位100社」には入らないわけだからね。
柳瀬 そうか‥‥つまり、まわりのほとんどの人が
志望した会社に入っていない‥‥のか。
山中 全学生数の数パーセントでしょうからね、
この「人気企業100社」に入社するのって。
柳瀬 来春の求人総数って、どのくらいだろう?
山中 えーと‥‥約95万人、だそうです。
柳瀬 で、この上位100社の全採用人数って、
トータルでも‥‥。
山中 1万人、いかないんじゃないでしょうか。
柳瀬 つまり、1%未満。
糸井 にもかかわらず、
いま、まわりを見まわしたって‥‥
みんな、それなりに
楽しんではたらいてるんですよね。
柳瀬 そのとおりですね。
糸井 もっと言うと、はたから見ていても
おもしろそうに仕事をしているし、
いっしょに仕事をするこっちも
「こいつ、おもしろいな」って思える人って、
「その会社じゃなかったケース」について、
あんまり、未練を持ってなさそうなんですよ。
山中 いまの状況を、楽しめてる。
柳瀬 参考になるかわからないですけど、
以前、リクルートさんで
「あなたは、なぜ、はたらくんですか?」という
調査をしたらしいんですよ。

そうすると、やっぱり「生活のため」という答えが
圧倒的に多かったというんです。
山中 そうでしょうね。
柳瀬 でも、このさき、生活していけるだけの
じゅうぶんな貯金があったら、
「はたらきますか? はたらくのをやめますか?」と
続けて質問をしたら、
「はたらき続ける」って答えが
圧倒的に多かったらしいんですよね。
山中 やっぱりみんな、「はたらきたい」のか。
糸井 まぁ「どこでもいいだろ」とまで
無責任なことは、言えないんだけど‥‥。

でも、逆に言えば、どこへ行っても、
上手くいくやつってほんとに、すごいやつですよ。
柳瀬 あと、誰と組んでも、大丈夫なやつ。
糸井 うん、それも、すごい。
山中 何やってても楽しそう、とか。
糸井 それはもう、理想の人だなあ。
山中 いっしょに、はたらきたいですよね。
糸井 むかし、朝日新聞は
就職試験の「上から何人」と「下から何人」を
採るんだって伝説があったんだけど‥‥。
山中 ああ、ありましたかね、そんなの
糸井 この話じたい、ほんとかどうか知りませんけど、
あながち笑い話でもないと思うんです。

というのも、これからの時代は、
試験の成績が上であろうが下であろうが、
どこをとっても、
「その人を活かせるような仕組み」をつくれないと、
会社としては危ないんじゃないか、と。
柳瀬 ああ、こんどは企業の側から見たときに。
糸井 うん、つまり「誰が来ても大丈夫」って会社が、
理想的な会社なのかも‥‥しれないね。
柳瀬 「誰が来ても大丈夫」は、いいですね。
糸井 オレ自身、これから入れてもらえるんだったら
そんな会社ではたらきたいし(笑)。
柳瀬 じゃあ、今回の社会人の人気企業ランキングを
なにかの参考にするとしたら‥‥
どういうふうに、考えたらいいんでしょうね?
山中 たぶん、「ほぼ日」読者にしても
「NBO」読者にしても、
社会人として、じっさいはたらいてみたときに、
いろんなパラメーターで評価してみたら、
こんな会社がえらばれましたよって
ことじゃないでしょうか。
柳瀬 そうか、それは製品・サービスからの視点かもしれないし、
はたらきやすさからかもしれないし、
年収の高さかもしれないし、将来性かもしれない‥‥。
糸井 社会ではたらいてみると、
こういうパラメーターが気になるんだよ、
ともいえますよね。
山中 なるほど、社会ではたらいてる先輩は
企業のこういうところを見てるのかってことが
わかるだけでも。
糸井 どこに重きをおくのかは、人によって、
それぞれあるでしょうからね。

それが、たとえば吉本隆明さんの場合には
「会社ってのは
 愚痴を言える同僚がいればそれでいい」って
ことばになってくるんだろうし。
柳瀬 『はたらきたい。』のテーマである
「何を大切にしているか」にも
つながってきそうなことでもありますよね。
糸井 これから就職活動をはじめる学生さんにとっては、
「価値の軸が1本じゃない」ってことがわかるってだけで、
きっと何かが変わってくると思うなぁ。
柳瀬 うん、そう、そうですね。  

今回で、3人の座談会は終わります。
次回からは「社会人がえらぶ人気企業アンケート」の結果を
よりくわしく発表していきます。

どうぞ、おたのしみに!

2008-06-10-TUE

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