イトイの読んだ本、買った本。
 
イトイの読んだ本
『世紀の発見』
著者:磯崎 憲一郎
発行:河出書房新社
価格:¥ 1,470(税込)
ISBN-13:978-4309019154


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イトイはこう言っている。
先日の芥川賞発表のニュースを読んでいて、
この作者の受賞作『終の住処』の内容を知って、
昔の私小説みたいなもの‥‥じゃないのか?
こういうあらすじで、しかも表現が奇妙なのかしらん?
だとしたら、もうちょっと奇妙な感じが
わかりやすくでてるような気がする、
前の小説のほうを読んでみようかな。
えーっと、『世紀の発見』、このタイトルのほうが、
奇妙っぽさが明確なんじゃないかな。
ガルシア=マルケスを思わせる感覚かぁ?
日本の小説で?
ふーむ。読んでみようかなぁ、まず、買ってみよう。
‥‥というわけで、ここにあるんですけれど、
なかなか読みはじめる動機がなくて、そのままです。
 
磯崎さんが紡いでいく言葉の糸車にぐるぐる巻かれ、
ぽとぽと垂らされる絵の具の波紋に身を任せて、
ああ〜、いい気持ちってトリップしながら
ときどき<?>や<?!>におそわれる。

「こりゃ、なんのこっちゃ?」と思える部分を
語る力はございませんが、
そういうところは煙に巻かれてください。
(マルケスは「なんのこっちゃ??」も
 超えちゃいますが)

静かな、きれいな笑顔の作家さん、てところも好きです。
(きみこ)

 
乗組員も読んでみた。
機関車を見つめる少年。
友だちと迷い込んだ妙な森。
ポニーと名付けられた犬。
そして、特別な存在である母親。

こういった、いくつも並ぶ
「わたし」の断片的な記憶は、
どれもが、どこかぼんやりとしています。

エピソード自体の時間も、
過去の「わたし」のことが書かれているのか、
いまの「わたし」が過去のことを振り返っているのか
境目がありません。

だいたい、これらのエピソードは、
「ほんとう」に起こった(あった)ことなのか、
思い込みの夢幻なのか。

「つまり俺は、誰のものでもある、
 不特定多数の人生を生きているということだな」
(本文より)

誰かの夢を読んでいるのか、
誰かの過去を読んでいるのか、
よくわからなくなる、夢をみているような小説でした。

そして、読み終わったあと、
いま、自分が「ほんとう」だと思っている自分の記憶も、
同じくらいあいまいなものなのではないか、
とちょっと不安になりました。

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『世紀の発見』への感想メールを
ありがとうございました!
また次回の「イトイの読んだ本、買った本」を
どうぞお楽しみに。

2009-09-19-SAT
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