イトイの読んだ本、買った本。
 
イトイの読んだ本
『謎の1セント硬貨
 真実は細部に宿るinUSA』

著者:向井 万起男
発行:講談社
価格:¥ 1,365 (税込)
ISBN-13:978-4062152686

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イトイはこう言っている。
(2009年4月18日「今日のダーリン」より)

・向井万起男さんの新しい本を読んでいます。
 『謎の1セント硬貨』っていうんですけどね。
 アメリカというところを、うろうろ歩いて、
 きょろきょろ見て、あれこれ訊いて‥‥とにかく、
 「人間がなにかを知る」というのは、
 こういう具体的なものなんだよなぁ、
 と感心するんです。
 向井さんのことをよく知っていたり、
 向井さんの本を読んだりしている人には、
 言わずもがなのことなんですけど、
 この、一般には「女性宇宙飛行士の夫」
 と思われている人は、実に大きくて
 おもしろいんですよねぇ。

 「大きくておもしろい」ことを、
 職業にしていないのに、
 「大きくておもしろい」んです。
 こういう人が、お医者さんだったりするのが、
 「日本の底力」というものなんじゃないだろうか。
 中島みゆきさんが、『地上の星』で歌った
 「草原のペガサス」って、けっこういるんだよねー。

・だいたいね「謎の1セント硬貨」って、
 なんのこっちゃって思いませんか。
 本の前書きにあたるところに、
 この硬貨が登場します。
 話のおもしろさを端折っちゃって言うと、
 これはアメリカが、物資の不足していた戦時中に、
 1年だけ造っていた
 「鋼鉄製の1セント硬貨」のことです。
 いつも豊かだったようにさえ思えるアメリカでも、
 戦時中のプロダクトってものがあるんですよね。
 
 リーバイスのジーンズでも、
 「第2次世界大戦モデル」というのが
 あったっけなぁ、
 なんてことを思い出しました。
 いや、ぼくは復刻版のレプリカとか
 見ただけですけど。
 戦勝国の、圧倒的に豊かだったはずのアメリカでも、
 こんなふうだったのですから、
 戦争末期や戦後すぐの日本の人たちの生活は、
 ほんとうに貧しかったわけですよねぇ。

 
乗組員も読んでみた。
向井万起男さんは奥さんとアメリカをドライブ中、
各地で「これってなに?」「なんでかな?」と
気になったことや、ものに出会うと、
疑問をそのままにせずに、
理由を知ってそうなホームページを見つけて、
質問メールをせっせと送ってました。
質問先は下院議員やニューヨーク市長のときもあるし、
新聞社、警察、退役した軍人のときもあります。
米野球の博物館、修道士、ホテルマン‥‥など、
とにかく、アメリカに暮らすいろいろな人たちに
せっせと質問メールを送っていたのです。

この本には、向井さんご夫婦が
アメリカ旅行中に体験した話とともに、
向井さんの質問メールと
いろいろな人たちの
回答メールが紹介されています。
同じ質問でも、人によって答えが違い、
みなさん、堂々と答えているというのも
興味深かったのですが、
アメリカの人に質問メールを送ると、
かならず返事をくれる‥‥ということに
なにより、びっくりしました。
だれもがめんどうくさがることなく、
なんとか答えようとして、
自分なりの考えを、
いっしょうけんめい書いてくれるのです。
ユーモアやウイットにあふれている回答や
みごとにスマートな回答に
「へー」の連続でした。
また、こういうことができる
インターネットっておもしろいなーと、
あらためて思ったりもしました。

向井さんはひとつひとつの疑問を、
集まった回答を参考にしながら、
深く掘りさげていきます。
外堀をどんどん掘りすすめるうちに、
本体そのもののかたちが
うかびあがってきた‥‥
そんな感じのおもしろさで
読み終わったときには、
わくわくしてました。
「アメリカとはこういう国」
「アメリカ人ってこういう人」
と、そのものをストレートに語る方法もあるし、
日本と比較して語る方法もありますが、
向井さんのこのアメリカの紹介は、
気づかされることや、知ることが多くて、
とてもおもしろかったです。

2009-05-13-WED
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