HABU
ハブの棒使い。
やればできるか、晴耕雨読。

その68 リーフ釣りにはまる

釣りに誘われました。
この時期、大潮の昼の干潮時には潮位がとてもさがります。
普段は波の下にあるさんご礁が海面に姿を現すのです。
そのリーフの先端まで行って、
ちょこっと釣り糸を垂らすだけで
たくさんの魚が釣れるとか。
甘言に乗せられて出かけることに相成りました。

実は釣りは苦手です。
会社員時代に何度か誘われて行ったことはあるのですが、
頭に去来するのは悲惨な思い出ばかり。
元来不器用なもので、しかけをつくるのがひと苦労。
準備をするまでに釣針を指を刺したり、
それを外そうとして糸をからませたり。
いざ釣り始めても、やれ海底のゴミを釣りあげてみたり、
釣った魚を外すのに格闘しているうちに取り逃がしたり。
ようやく釣った魚が地元の人さえ見たことのない外道で、
ひと言の断りもなく海へ投げ捨てられたこともあったっけ。
釣ったサバの血を見て、
卒倒したことことだってあるのです。
そんなこんなで、及び腰でリーフ釣り当日に臨みました。

天気は曇り。
青い空が見られないのは残念な気もしますが、
ピーカンだと日焼けは必至なので、
かえってこのくらいがよいのだとか。
まだ干潮には2時間以上も間があるのに、
すでに釣り人の先客がちらほら。
みんなこの日を待ち望んでいたのでしょう。
すがるような目に哀れみを感じたのでしょうか。
同行のベテランがしかけを作ってくれます。
おまけに餌までつけてくれ、
ここで釣るとよいと糸を垂らす場所まで教えてくれます。
場所は海岸から百メートルほど歩いた堤防の少し先。
もっと向こうにもさんご礁が姿を出しているのですが、
そちらにはいつしか釣師たちがたくさん出ています。
ライバルの少ないこの辺が穴場だという声を信じることに。

さっそく右手から釣れたという声が、
地元でネバリとよばれるハタの一種があがったようです。
今度は左の人が喚声をあげています。
色鮮やかなカワハギの一種が釣れたみたいです。
ベラにヒメジにハリセンボン。
次々と釣果があがっていきます。
が。
ボクの竿にはまったく当たりが来ません。
予想したとはいえ、取り残された悲しい気分。
場所を変えようと思ったそのとき、

「鳥さん、引いてるんじゃない?」

見ると、いつの間にかうきが海面下に。
よっしゃーと、リールを巻き始めた途端に、
相手は足元のリーフの下に逃げ込みました。
こうなるともはや引きあげることは無理で、
さかながおとなしくリーフから出てくるのを待つのみ。
長期戦の構えです。
1分経過。まだ出てきません。
2分経過。待つ時間のなんと長いことか。
もう諦めて糸を切ってやり直そうかと思った瞬間、
相手も観念したのか、リーフから出てきました。
ぐぐっと引きが戻ります。
今度は逃げられないように竿を立てて寄せると、
やった、釣れました!
素人には嬉しい、まずまずの大きさのメジナです。

これをビギナーズラックというのでしょう。
いやあ、釣りは楽しいな!
と思ったのはそのときだけで、
残る大半の時間は、竿や糸と格闘していたのでした。
せめてもっと魚と格闘したかった。


同行者が釣ったモンガラカワハギ。
必要以上に派手な装いに見えるのですが……
鳥飼さんの新作が出ました!

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2003-04-01-TUE

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